ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜   

「コーマン帝国」の後、新宿武蔵野館で、もう一本鑑賞しました。

ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜
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公式サイト
解説: 1960年代、人種差別が横行していたアメリカの田舎町に変化をもたらした実在の女性たちについて記したベストセラー小説を映画化した人間ドラマ。白人家庭でメイドとして働く黒人女性たちとジャーナリスト志望の若い白人女性との友情を通して、社会に対して立ち上がる勇気を描いていく。主演は、『ゾンビランド』のエマ・ストーン。『ダウト ~あるカトリック学校で~』のヴィオラ・デイヴィス、『ターミネーター4』のブライス・ダラス・ハワード、『ツリー・オブ・ライフ』のジェシカ・チャスティンなどが共演。感動的なストーリーはもちろん、彼女たちの熱演にも心を揺さぶられる。
あらすじ: アメリカ・ミシシッピ州。1960年代当時、白人家庭でメイドとして働く黒人女性は“ヘルプ”と呼ばれていた。作家志望のスキーター(エマ・ストーン)はメイドの置かれた立場に疑問を抱き、彼女たちにインタビューをすることに。仕事を失うことを恐れて、皆が口をつぐむ中、一人の女性の勇気が社会を揺るがすことになる。

こちらは、こんな展示がありましたよ。
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この映画は、偉いと思いました。それは、人種差別問題に切り込んだという部分じゃなく、人種差別問題という重くなりそうなテーマにも関わらず、コメディ調に描いているという部分です。

故井上ひさしさんの言葉に、こういう言葉があります。
「むずかしいことをやさしく、
やさしいことをふかく、
ふかいことをおもしろく」
正に、この言葉を体現してる映画じゃないでしょうか。

かと言って、差別を茶化してる訳じゃないです。差別の本質を突きながら、差別を暴きながらも、笑いを入れて来るといった感じでしょうか。

この原作小説が、アメリカで大ヒットして、2011年8月時点で500万部を売上げ、ニューヨーク・タイムズのベストセラーには100週以上入り続けた。との事です。しかもキャスリン・ストケットの処女作との事です。
日本でも、2012年2月17日に発売されたとの事ですけど、いつも通り、原作は読んでません!
ちなみに、原作者と監督のテイト・テイラーは、幼馴染で出版前に映画化権を与えてたとの事です。

それで、昨日UPした「コーマン帝国」の最後に、僕はこう書きました。
コーマン監督が、急に真面目に作って、唯一赤字だった映画が「イントルーダー」なのですが、これこそが、コーマン先生の真骨頂でもあり、自信作との事です。
実は、その映画と今日もう一本鑑賞した映画、「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」が、同じテーマを扱ってるので、そこで一緒に書いていきます。
つまり、「イントルーダー」という映画は、60年代アメリカ南部の人種差別問題についての映画だったんです。まさに、この「ヘルプ」と同じ映画なので、この問題について、書いて行きたいと思います。

その前に、このブログで差別を扱った映画は、
「エレファント・マン」
「ミルク」
ですが、どちらも共通して感じたのは、差別している人達に罪悪感、差別の意識がまるでない。という点でした。そして、今作もまさにそれです。

真面目な話、これって、もしかしたらしょうがない事なのかも知れないなと思ったりもします。だって、無意識及び、無知が招いてる事ですから。僕もどこかで差別してるしされてると思うし、差別やめようよなんて、凡庸な事を言う気はさらさらないですけど。でも、差別と戦う事、戦わなければ、何も変わらないという事を映画を通じて学んでますね。勝ち負けではなく。いや、ゲイや黒人問題とか、本当に殺されるという危険性もあるんで、かなり恐ろしい事だし、自分がその立場で戦えるか非常に疑問ですが…。

それで、人種差別の話ですけど、南北戦争で南部が負けて奴隷が解放されても、南部ではセグレゲーション(人種隔離政策)が続いてたみたいで、学校、トイレ、水飲み場などを分けて使われてて、この映画みたいに、黒人女性はメイドとして、白人に雇われていたみたいです。
それで、インテグレーション(人種融合政策)が始まったけど、南部には差別意識が残ってて白人の学校に通う黒人を阻止しようとしたり、選挙に参加しようとした黒人をKKKが殺したり、60年代はそういう状況だったとの事です。

その状況のおかしさをロジャー・コーマン先生は「イントルーダー」という映画で、62年に赤字覚悟で訴えたのです。無茶苦茶な人ですけど、そういうしっかりとした弱者への眼差しを常に持ってたし、体制や世間とちゃんと戦った人なので、やはり、尊敬に値します。

そして、本作では都会の大学から南部のミシシッピーに帰って来た作家志望のスキーター(エマ・ストーン)が、友達や親の黒人メイドの扱いに違和感を覚えて、メイドさんのインタビューを本にして訴えようというお話です。
しかし、南部の黒人差別は酷くて、どの黒人メイドさんも怖くて、なかなか話してくれません。そんな本が世に出たら殺されかねませんし、白人のスキーターだって黒人に肩入れしたという事で殺される可能性は高いです。それでも、ある事がきっかけでエイブリーン(ヴィオラ・デイヴィス)は、話す事を決意します。彼女達は世間と戦うんです。
という真面目な下敷きがある状況で、ギャグ展開も用意されてて、むふふふふふふと思いながら観てたんですけどね。まぁまぁそれは映画を観て実際に楽しんで下さい。

なかなか役者さんも素敵な演技をしてましたよ。もっとも悪い女のヒリー(ブライス・ダラス・ハワード)が、悪く描かれ過ぎな気もしなくもなかったけど、でも、こんな嫌な女って稀にいるよね?とも思いました。ただ、彼女にももう少し救いの部分を見せて欲しかった気もしなくもないですね。まぁわかりやすい構造で見せた方が、こういう映画だといいのかなぁ。でも、本当にスゲー腹立つんで、脚本の力もあるかも知れませんけど、演技もいいんだと思いますよ。
でも、そんな彼女の周りの友達が、その部分を補ってて、周りは、本当に(差別意識)が無くて、思い込みで差別をしてるというのが、しっかり描けてたと思います。物心ついた時から黒人は、そういう扱いをするものだと思ってるんですよ。
だからヒリーの暴走にも、都会帰りのスキーター以外は全く疑問にも思ってないんです。
ここは、「ヤング≒アダルト」にも通ずるテーマなんですけど、何の疑問も抱かずに、生まれた場所にずっといれる人達、ありのままを受け入れられる人達を世間的には大人と言うけど、裏を返せばそういう人達って、鈍感なんだと思います。

やはり、一度は世界に出て、これまでの人生を否定されて、初めて大人になれるんじゃないでしょうか。

と、映画が真面目な事を面白く伝えてるのに、僕のブログは真面目なだけになっちゃってますねー。

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「エマ・ストーン」
「ヴィオラ・デイヴィス」
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by eigasirouto | 2012-04-11 02:00 | 新作映画(2012)

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