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テルマエ・ロマエ   

かなり前から映画館で予告編が流れてて、悪い意味で、これはヤバそうな映画だなぁと思ってたんですが、シネマハスラーの今週の課題作品になったので、鑑賞して来ましたよ。

テルマエ・ロマエ
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公式サイト
解説:古代ローマ帝国の浴場設計技師が現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう、ヤマザキマリの人気コミックを実写映画化。監督は、『のだめカンタービレ 最終楽章』シリーズの武内英樹、脚本を『クローズZERO』シリーズの武藤将吾が手掛ける。古代ローマと現代日本、時空を越えて異文化交流を繰り広げる主人公ルシウスを、阿部寛が妙演。漫画家志望のヒロインに上戸彩がふんするほか、古代ローマ人役の北村一輝、宍戸開、市村正親という日本屈指の顔の濃い役者陣の成り切りぶりにも注目。
あらすじ:古代ローマ、アイデアが行き詰まり失業した浴場設計技師のルシウス(阿部寛)は、友人に誘われた公衆浴場でタイムスリップしてしまう。たどり着いた場所は、何と日本の銭湯。そこには「平たい顔族=日本人」がいて、彼は漫画家志望の真実(上戸彩)と出会う。ルシウスは日本の風呂の文化に感銘を受け、そこで浮かんだアイデアを古代ローマに持ち帰り一躍有名になっていくが……。

映画の日で、1000円だったからか新宿ピカデリーの21:25の回の結構大きいスクリーンが、満席でしたよ。今年、鑑賞した中で一番多くの人達と鑑賞したと思います。

原作の漫画は非常に評価が高いですね。
マンガ大賞2010
第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞
「このマンガがすごい!」2011年版オトコ編 2位
全国書店員が選んだおすすめコミック2011 3位入選
原作漫画の存在は知ってて、話題になってたから以前に読もうと思って商品を手に取った事はあるけど、帯の解説とか読んで、うーん、興味が湧かないなぁ…と思ってそのまま本棚に戻した事がありまして。
で、鑑賞前に1時間程、時間があったので、上映前に1巻だけ買って読みました。
設定がユニークで主人公の生真面目さと彼が現代の物を見た時の衝撃にクスクス笑える感じで、漫画はそれなりに面白かったです。けど、なんでそんなにスゲー評価されてるのか、1巻だけじゃわからなかったです。なんでしょうか、斬新な設定が評価ポイントなのでしょうか?

ただ、冒頭にも書きましたけど、予告編を観る限り、嫌な予感のする映画で。
一番強くそう思う理由は、同じ気持ちの人は多いと思いますが、ローマ人濃い顔をした日本人が演じるという部分で。思い切った事をするなぁ。制作者たちは頭がおかしいなぁと言う部分です。
とても真面目に観る気にはなれないし、そもそも真面目に観る映画じゃないのは百も承知ですし、コメディなんだからいいんだよと言う意見もありそうですが、コメディだからこそ絶対に白人用意するべきだと思うんですけどね。だって、どう考えても白人が、やった方が面白いですよ。これ。
と映画を観る前は思ってたんですけど、いざ映画を観てみると逆に阿部寛さん(以下、敬称略)と言う奇襲は、阿部寛が非常にがんばってると思うし、悪く無いかもとも思ったりもしました。

僕の結論から言いますと、前半は、なかなか原作の持つ面白さを描き出してて、笑えるし良いんじゃないの?と思うのと同時に、ただこれ108分も持つのかー?今は楽しいけど、飽きずに行けるのかー?あ、やっぱり持たなかったか…。と思いました。

今回は、以下
①嫌いじゃないよ前半戦
②上戸彩ちゃんは、かわいい。ただ…
③絶望の中盤以降
④ダラダラのラスト&エンディング
⑤客層
の項目に分けて書いて行きます。


①嫌いじゃないよ前半戦

漫画を読んで、すぐ映画を観始めた訳ですけど、冒頭で古代ローマの説明から入って、そんなの別にいらないなぁと思いながらも、日本人がしゃべる所はそのまま日本語で喋ってて、外人の所は吹替えっぽい日本語になってて、適当なぁと思いながらも、タイムスリップ描写にオーケストラの指揮者みたいなのが、出て来る演出に何それ?とか思いつつも、予告編でそこ何度も観たよ思いながらも、それなりに阿部寛の真剣な演技が面白かったんで、悪くないんじゃん?と思いましたよ。

この映画、正直つっこみ出したらキリが無いんですよ。むしろつっこまなくていい部分を探す方が難しいですよ。だから、もうそういう映画だと割り切るしかないんですよ。そこを自分に言い聞かせながら観ると中々笑えたんですよ。

やはり、その大きな要因として、阿部寛の演技にかかってると思うんですよ。ちゃんとふざけずに大げさになり過ぎずに、ちゃんとその役の範囲内で演技をしてると思ったんで、主人公いいなと思えましたよ。
それと笑えるシーンは、漫画でも面白い部分で、そこをちゃんと損なわずに伝えれてるなと思いました。
阿部ちゃんの頭の中で、奴隷が働いてると思うシーンがあるのですが、漫画では言葉だけで言ってるけど、その絵を映画は見せてて、説明的過ぎる気もするけど、それはそれで面白いなと思いましたね。笑いが増幅されるならいいんじゃないですかね。
他にも、竹内力の存在が面白かったのとピカデリー梅田は、面白かったです。

そんな前半でも、気になる部分は無くはないです。
阿部ちゃん以外の人達が、どうもコントテンションでやってるんですよねぇ…。それって上辺の笑いになってしまうから勿体ないなぁと思ったり。

後、やっぱり漫画と映画は違うんだから全部台詞で、説明するのは、もう少し工夫が必要だったんじゃないかなぁとかは、思ったりもします。


②上戸彩ちゃんは、かわいい。ただ…

そりゃあ、かわいいですよ。
ただ、この役は、漫画にはいない役なんですよ。原作者のヤマザキマリさんがモデルだと思うんですけど、この役いる?と思ってしまって。
かわいいから個人的には、許せる範囲ですけど、わざとらしい演技とか気になるし、彼女を描いたオリジナル部分は、全然、リアリティを感じれなかったです。

だから上戸彩が悪いんじゃなくて、脚本と演出とそもそもここに、この役と上戸彩をブチ込んだディレクターなりが悪いんだとは思いますけどね。
まぁ、濃いおっさんとじいさんばかりしか出て来ないから華を添えたいと言う気持ちも、わかりますけど。

漫画家志望の女の子って、設定でもいいですけど、なんで20代中盤の女の子(特に彼女は童顔だからもっと若く見える)が「北斗の拳」が好きで、「北斗の拳」風の漫画を描くかなぁ?実家に帰る時、「ひでぶだよ…」とか言うかなぁ?何で今時?と思って。原作者のヤマザキマリさんが好きなんですか?わからないですが、上戸彩ちゃんが「北斗の拳」を好きそうに思えないですよ。わからないけど、作り手のエゴが入ってる気がします。
いや、僕も「北斗の拳」好きですけど。こうやって書いてて、今になって想像するとかなり笑えて来ましたし、上戸彩ちゃんにそんな事をさせると言うアイドル的観点から見ると楽しいのかも知れないですけど。
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これから書く部分が、ものすごく細かい部分ですけど、ここからが一番言いたい部分です。上戸彩の実家の部屋の本棚に色んな漫画が飾ってあるんですけど、「ゴリラーマン」が並んでて、その横に「ゴリラーウーマン」と言う「BECK」に出て来た架空の漫画も並んでるんですけど、これってまさか「BECK」オマージュですか?わざわざ「BECK」で作ったから使い回しですよね?装飾が同じ茂木豊さんですよ。だから結局、仕事が適当なんですよ。制作者達は「ゴリラーウーマン」という漫画が存在しないと言う事をわかってるんですかね?
ヒロインが真剣に漫画家を目指す役をさせるならある程度、絶対に漫画の部分はちゃんとしなきゃダメじゃないですかね?
全然、調べもしないで適当な記号としての漫画家を目指してる女性でしかないから彼女周りの話は、本当にどうでもよくなってしまってるんですよ。

更に、物語上のご都合主義の極みなんですけど、派遣社員もやってたんかい!と言うつっこみもありますけど、とにかくヒロインのキャラクターがいい加減過ぎて、話がどうでも良くなって来るんですよ。

適当な映画なんだからいいじゃんと言われるかも知れませんが、設定とかがいくら荒唐無稽でも良いけど、その分、そういう映画は登場人物の実在感が絶対的に必要だと思います。

だから阿部寛が、こんな無茶苦茶な世界観にも関わらず、一生懸命、人物を創ってて、前半は観れますが、上戸彩の登場シーンが増えるにつれ、ドンドンドンドン物語自体が、どうでも良くなって来て、中盤からもうどうでもいいやと思って、眠くてしょうがない展開になって行ったと思うんです。


③絶望の中盤以降

中盤くらいから阿部寛と上戸彩が、絡むシーンが増えて来るし、漫画にはない(らしい)笑い無しの真剣っぽいストーリーになって行くんですけど、ここが全然面白く無かったです。
いや、面白いも何も、そもそもどうでもいい話なのに、何を取ってつけた様に真面目にやり出しちゃってんの?と呆れてしまいました。

竹内力は、なんか面白かったりしますけど、別に物語上、関係無い笑いですからね。

後、どうでもいいと思ってしまう、もう一つの要因として、悪者とされているケイオニウス(北村一輝)って、ただちょっとイケ好かねぇ女好きな奴ってだけじゃね?と思えて、彼に対する扱いは、どうかと思うんですよ。
時の権力者なんて、皆、女何人もいる訳だし、そもそも王であるハドリアヌス(市村正親)なんて、男色家でもある訳じゃないですか。
ただ、単に主人公が気に入らなかっただけに思えて。映画って怖いのは、普通に考えて、そんな悪い奴じゃないのに、あれで悪い奴だなぁと思う人もおそらくいるって所だと思うんですよね。

だからヒロインも悪役もどうでもいいから、阿部寛が一生懸命がんばっても、どうでもいいなぁとしか思えないんだから眠くなりますよ。
しかも、ここのパートが一番長いと言う。そして、戦場に風呂を作ったからって戦争に勝つ理屈もよくわからないし。(うつらうつらしてたからわからなかっただけですか?)

この辺の話は、原作には無いらしいので、原作ファンはもっと怒るべきなんじゃないですかね?


④ダラダラのラスト&エンディング

そんなクソどうでもいい話がやっと終わって、早く締めて帰ろうぜ!と思ってるんですけど、そこからなかなか終わってくれないんですよ。
どうでもいい、その後をダラダラダラダラと続けて、やっとエンディングになったと思ったらそこでも、またその後の色んなキャラが風呂に入ってるシーンになりまして。
もうわかったよ。風呂っていいね。と心底僕は思ってましたが、映画が面白かった人には、いいのかも知れませんけど。

ただ、上戸彩ちゃんの入浴シーンもあって、これで僕は一気に目が覚めましたよ。
これは、よかったです。出来れば、乳首とかお尻とか見せてくれると良かったですけど。
いや~、これがあって今まで色々思った事がチャラに…ならねーよ!
これくらいの事で、チャラに出来る訳ないですよ。

一応、再度言っておきますけど、上戸彩ちゃんが悪い訳じゃないですよ!
入浴シーンを見せてくれたんで、感謝してますよ。乳首とかお尻とか見せてくれるともっと良かったですけど。


⑤客層

最後に、お客さんの事を書こうと思うんですけど、マジで人が多かったですよ。
まぁゴールデンウィークだし、1日で映画の日(1000円)だし、そもそも新宿ピカデリーはいつも人が多いですけど、ほんと色んな人がいたなぁと思いました。とにかくギャグの時、無条件で笑う人達とか。

終わった後、トイレでおしっこしてたら隣の20代後半くらいの男2人が、「こんなに映画館で笑いが起こる事無いよね?」「うん」とか、言ってましたけど、マジで、「いや、もっとウケてるの全然あるよ!」って、言いそうになりましたよ。

ただ、イタリアの映画祭では、大ウケらしいです。
それは、でも白人が侍をやったり「キル・ビル」で、日本をフューチャーされて嬉しいとか、そんなのと同質な喜びとあり得ない!と言うのが、混ざってウケてる気もしますけどね。

今まで、書いて来た事を総合すると、このGWに邦画を観るなら「SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」を観るのが、おすすめですよ。

by eigasirouto | 2012-05-02 04:59 | 新作映画(2012)

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