ウディ・アレンの 重罪と軽罪
2012年 05月 29日
ウディ・アレンの 重罪と軽罪
解説:ウディ・アレンが89年に製作した作品。ある2組の夫婦を主人公に、浮気という“小さな罪”から、やがて殺人という“大きな罪”へと導かれる様を描いたシニカルな人間ドラマ。
これまでのウディ・アレンの映画とは違い、結構、真面目な映画でしたが、ウディ・アレン作品の中では、今の所、一番好きになりました!
世の中のやってられない不条理をシニカルに描き切っていて、観てる我々も色々と考えさせられるのでは無いでしょうか?
非常に正しき人が失明し、金持ちで軽い偽善者が口先だけで上手く行ったり、真面目に高い志を持った人が貧乏で失恋したり、己の名誉の為にある重大事件を起こした人物が隠して生きたり、と言った具合におかしいよ、こんな世の中!と言いたくなりますが、しかし、現実とはこういうものでは無いでしょうか。
基本的に、ウディ・アレン監督は、諦観を描いた作品が多いと聞きますが、僕も、「どうせ他人とわかりあえない」とか「どうせ自分は上手くいかない」という所謂「どうせ俺なんて~」という思いが、ベースにあるので、伝えんとする事が、わかると言うか。
そして、日々繰り返される選択の連続によって、どう生きたか、どういう人間かわかると教えてくれます。そう言えば、以前、桑田真澄がブログで選択についての事を書いてたので、読み直そうと思ったらブログが無くなってて残念です。
それによって観客に、アイツなんか上手く行ったけどこれで本当にいいと思うのか?と投げかけて来ます。でも、結局、現実ってこうなんだよ!クソ!とか思わされますが、少なくとも僕は、悲しい結末を向えた人物達にこそ共感し応援したくなると思います。
こだわりが強く真面目に生きてる人は、やっぱり生きにくいんですよね。
しかし、それでも最後に希望を見せて映画は終わります。
誰の、どういう考え方を持った人物の幸福な瞬間で終わるのか?それを観て欲しいです。
とにかく、確かに世の中は無情で不条理だが、諸々の事実をどう捉えて、どう接するべきか。そのヒントが隠されていると僕は思いました。
僕は、この作品、傑作だと思うんで、観て欲しい1本です。
by eigasirouto | 2012-05-29 01:11 | 旧作(2012年鑑賞)