先生を流産させる会   

ユーロスペースにて、かなりの立ち見も出る中で、鑑賞しましたよ。

先生を流産させる会
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公式サイト
解説: 『牛乳王子』で注目された内藤瑛亮が、愛知県の某中学校で実際に起きた事件を下敷きにして放つ異色ドラマ。思春期特有の不安定な感情が性への嫌悪感へとつながってしまった女子中学生たちが、妊娠した担任女教師を流産させようとたくらむ姿を鮮烈なタッチで映し出す。小林香織を筆頭に、本作で映画初出演を果たした少女たちが無垢(むく)な悪意をさらけ出す中学生を熱演して圧倒的存在感を見せつける。衝撃的な題名と内容だが、そこに内藤監督が込めた生命に対する真摯(しんし)なメッセージに目を向けたい。
あらすじ: 郊外の中学校で教師を務めるサワコ(宮田亜紀)が妊娠し、彼女が担任を受け持つクラスの生徒たちは活気づく。そんな中、ミヅキ(小林香織)はサワコがセックスをしていることに異常な嫌悪を示す。やがて彼女は、自分が率いるグループで「先生を流産させる会」を結成、サワコの給食に理科室から盗んだ薬品を混入して流産を促そうとする。味の異変を察知して給食を吐き出したサワコは、ミヅキの仕業だと知って彼女と仲間を激しく戒める。だが、それを受けてミヅキは反省するどころか、より嫌がらせをエスカレートさせていき……。

この映画は、現在、全国で渋谷のユーロスペースで、しかも1日1回だけの公開なので、そりゃあ映画の日ともなると集まるのは当然っちゃ当然かも知れないけど、メチャメチャ混んでましたねー。チラッと受付の人とお客さんの会話を聞いた所、普通の日でも、立ち見が出てるとの事です。ちなみに、普段も1300円ですよ!

僕は、妊婦が歩いてるとドキドキするんですよ。フェチという意味じゃないですよ。こけたりしないかなー?何かにぶつかったりしないかなー?とか、勝手に心配してしまいます。
そんな軟弱な僕ですから、とにかく〝流産させる会〟の少女たちの行動が、本当に怖くて。
観てる間じゅう、怖い怖い。とにかく怖い。やめて!もうやめて!と思って、観終わった後、たった62分の映画にも関わらず、すごく疲れてました。
とにかく、今まで観たどんなホラー映画よりも、個人的には、一番怖かったかも知れません。
それは、裏を返せば、メチャクチャ楽しめたって事なんですよね。
衝撃的なタイトルが、話題になり、ネットで叩かれたりしてますが、僕は、本当に観てよかったなと思いました。
こんな映画体験は、なかなか出来ないですよ。

今回は、以下
①元になった事件
②タイトル、内容の問題について
③役者、映像、音…全てが怖い
④ミヅキとはなんなのか?
⑤モンスターペアレント
⑥まとめ
に分けて書いて行こうと思います。


①元になった事件

2009/03/28(土) 16:24:11の中日新聞の記事らしいです
愛知県半田市内の中学校で今年1月から2月にかけ、1年の男子生徒たちが妊娠中だった担任の女性教諭に対し 「先生を流産させる会」を結成して、教諭の給食に異物を混ぜるなどの悪質ないたずらをしていたことが分かった。
学校によると、教諭は30代。3学期が始まった1月、席替えの決め方に対する不満や、部活動で 注意されたことへの反発から、生徒ら数人が周りの生徒に声を掛けて反抗しようと計画、 <16人>で会を結成した。
同月末には、生徒らがチョークの粉と歯磨き粉、のりを混ぜ合わせたものを教諭の車にふりまいたり、 いすの背もたれのねじを緩めたりするなどのいたずらを始めた。2月4日には理科の実験で使った ミョウバンと食塩をそれぞれ少しずつ持ち帰り、気付かれないようにして教諭の給食の中に混ぜたという。
ミョウバンは食品にも使われている物質で、教諭の体調に異常はなく、混入には気付かなかったらしい。
一連のいたずらは2月下旬に発覚。学校は保護者同席の上で生徒たちに注意した。今は深く反省しているという。
学校によると、教諭は「生徒らが反省をし、それを生かした行動をとれるようになるのを望んでいる」と話しており、 刑事告訴はしない意向。
同校の校長は「ゲーム的な感覚や友人との付き合いでしたことで、流産させようと本気に画策したわけではないと思う。
命の教育を浸透させ、今後二度と起こさないようにしたい」と話している。

先に、僕もこの事件をすごく嫌だと思っていると言うのは、ハッキリさせておきたいと思います。卑怯だし陰湿だし愚かだと思います。
自分が、結婚して妊娠した奥さんが、こんな目に遭ったら憤りを感じて、その中学生達に何をするかわかりません。

そして、それだけ嫌悪感や怒りが湧くと言うのは、だからこそ物語にする意味や必要性があるんじゃないかと思うんですよね。

人間には、普通の感覚では計れない悪意に満ちた人間もいますからね。僕は、こういう中学生には、子供が流産した母親の苦痛を描いた「ぐるりのこと」を見せるべきだ!と一瞬思ったのですが、主犯の中学生に悪意しか無いのだとすれば、こんなに苦しむからこそやる意義があると意思を強化し兼ねない、どんなに素晴らしい映画でも、捻じ曲げて解釈する人がいるんで、安易にそんな事も言えないかもな…とも思いました。

だから僕は、映画は観た人が感じた事が正解と言うのは、そういう危険性も孕んでいるので、ちょっと思考停止過ぎじゃないか?と思うんですけどね。国語のテストでよくあった作者の言いたい事を書き出しなさい。と言うのには、やはり正解があって、作者の意図を見抜く力が養われる訳で、そこが自由な解釈でOKになって、読み手がアホばかりになってしまったら、素晴らしい作品が評価されなくなる可能性もありますよ。というか、現在は、実際そうなってる気もしますが…。
その意図が、ちゃんと理解出来た上で、その考えは自分とは違う!と言うのは、むしろ必要な事ですが、間違った解釈で、批判するのは、イチャモンとか屁理屈でしか無いですからね。
※僕も、誤った解釈でそういう事をよくやってしまいますので、反省も含めて言ってるので、その辺はご理解いただけるとありがたいです。


②タイトル、内容の問題について

この「先生を流産させる会」という、センセーショナルなタイトルが、叩かれています。
興味のある方は、こちらを読んでみて下さい。
読むのが、めんどくさい人の為に、とりあえず、実際の書きこみをいくつか挙げてみましょう。
「こんなマジキチを 映画化する意味がわからん 」
「ひどい時代になったな いろんな意味で 」
「まともな神経してたらこんなタイトルの映画みようと思わないよな 」
「タイトルのつけ方ぐらい工夫しろや!、バカな映画はタイトルもバカだっていうからネ 」
「こんなんつくったってマネするやつがでてくるだけ」
「日本の恥だわ なんちゅうタイトルの映画作るんだよ 」

と言う感じで、展開されております。
マジキチとか差別用語を使ってる時点で君が文句言えた立場なのか…とか、やっぱり時代のせいにしちゃうんですか?…とか、バカな映画はタイトルもバカという説は聞いた事無いな…とか、マネする奴が出て来るって、あなたはマネしないって事ですよね?だったら他人もマネしないかも知れないのに、勝手に余計な心配をする辺り、他人を上から見てるんですかね?…とか、もっと狂った海外の映画たくさんありますよ…とか、色々思いますけど、この人達のおかげで、映画は話題になってます。こうなる事くらいは、制作者サイドも予測出来るでしょうから、してやったりの部分もあるかも知れませんね。

僕個人としては、映画や漫画は、そもそも、非道徳的であろうが反社会的であろうが面白ければ良くね?と思ってるのですが、いや、むしろ出来あがってる社会のルールやモラルの矛盾点を提示したり、本当にそれは正しい事なのか?と思わせてくれる作品が好きだし、価値があると思ってます。

そもそも昔の絵画だって、そのまま描いてしまうと投獄されて殺されかねないから、食べ物に意味を持たせて、政府への批判を意味したり、文学も、寓話にして現実の政府や社会を皮肉ってるモノもある訳で、ロックが生まれたのもそうだし、それを前面に打ち出したのがパンクな訳で。
当時としては反社会的行為ですから、芸術には、そういった側面があり、そういう部分にもちゃんと意義があるんですよ。
そして、いわゆる〝大人〟達は、中身を確認しないで自分の理解を越えたそういう芸術が現れる度に、怒るんですよ。自分が信じて疑わない社会の正義や価値観、それがそういう芸術によって変わってしまうかも知れないから。

そんな批判の一方で、中学生を男子から女子に変更した部分に、怒ってる人達がいまして、確かに、監督のインタビューとか読んでも、監督自身の発言に堂々と女性嫌悪から作ったと言ってました。

その事件を元にしたあくまでフィクションだから別に、忠実に事件を再現する義務は無いし監督が面白いと思う方向に改変する事に問題無いと思います。
でも、それに対しての文句は、僕だって漫画の原作がある映画で、改変部分が僕にとって嫌だったら文句言いますし、そういう議論の必要性はあるのかなと思ってます。

と、長々とこの映画の外側の部分を書きましたけど、やっぱり映画で大事なのは、中身ですよね。という事で、これから中身の事を書いて行きたいと思いますが、前置きがあまりにも長くなったので、久々に追記にして、分けて書こうと思います。

2012/6/6 追記書きました!
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by eigasirouto | 2012-06-04 15:14 | 新作映画(2012)

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