メリダとおそろしの森
2012年 08月 06日
メリダとおそろしの森
公式サイト
解説: 『カールじいさんの空飛ぶ家』などの名作を手掛けてきたディズニー&ピクサーのタッグによる冒険ファンタジー。幻想的なスコットランドの森などを舞台に、自ら招いた不運と対峙(たいじ)することになるヒロインの活躍を描き出す。監督を務めるのは、『プリンス・オブ・エジプト』の共同監督のブレンダ・チャップマンと、『ジョン・カーター』の脚本を担当したマーク・アンドリュース。広大な森の風景と共に勇敢な主人公の成長に目を見張る。
あらすじ: 王女メリダは王家のしきたりや伝統に反発を覚え、娘に女性らしい優雅さを身に付けるよう願う母と度々ぶつかっていた。そんなある日、彼女は鬼火に誘われるようにして森の奥深くへと入り込み、魔女の家にたどり着く。そこで彼女は自分の運命を変えてもらいたいと訴え、その願いがかなうと同時に、それまで安泰だった王国が災禍に見舞われてしまい……。
映画の日に、日米の最高峰のアニメ映画を見比べた訳ですが、「おおかみこどもの雨と雪」に、母と子のお話、森でのお話、熊の存在など少し似てる部分もあり、色々と興味深く鑑賞しました。
とりあえず、ピクサー作品初の女性が主人公の作品で、しかもお姫様が主人公というディズニーの十八番設定で、町山さんなどの解説で、ピクサーはファンタジーだけど、作家達の悩みや気持ちをしっかり反映させている。そして作家達が男しかいなかったから今まで男の主人公ばかりだったけど、女性が作家に入って来たので、今回は女の子を主人公に出来た。との事です。普通にピクサーのファンですし、ずっと楽しみにしてました。
ただ、僕の感想はと言いますと相変わらず絵は美しいですし、楽しいのは楽しい映画なのですが、後半くらいからあんまり面白くなかったと言うのが、正直な感想です。
どうして面白く無かったのか?色々と考えたのですが、いくつか自分なりに理由を考えた所、大きく3つあると思います。
ただ、ネタバレになりますので、まだ観て無い方は、鑑賞後に読んで下さいね。
①主人公メリダに問題がある気がすると僕は思うのですが…。
②理解出来ない行動がいくつかあった
③全体的にキャラが弱いと思う
①主人公メリダに問題がある気がする
ですが、これは主人公の顔がタイプじゃないとか、性格が嫌いとか、僕の個人的な好みじゃなくて、メリダが最初から最後まで正しく無いだろうか?という事です。
王道パターンであるならば、主人公の王子なりお姫様なりが父なり母なりに反発する主張は一見正しく思えるけど、いよいよ追い詰められ、仮の死を体験し、それを克服して、親の言ってる事を理解し、大人になって自らの意思で王様や女王になる。という感じだと思うんですけど、今作に関しては、終わってみれば、最初からメリダの言ってる事を貫けただけでした。わざと型を外した…のかも知れませんが。
つまり、観終わってから振り返ると最初から別にメリダの言ってる事が特におかしくなかったんじゃないか?と思えて来ました。冒頭で、母親に反発しててどこかで過ちに気付くと思ってたら、そうじゃなかったです。
むしろ間違ってたのは、母親の方で、母親の方がメリダに歩み寄るという結果でした。なので、成長したのはメリダじゃなく母親の方だった。と僕は思ったんですよ。
別に、型通りに作品を求めてる訳じゃないですけど、一体メリダは何をしたのか?果たして主人公的な活躍をしたんだろうか?と言う部分も重要だと思います。
全く活躍してない訳じゃないですけど、結構、偶然と力技でなんとか母親を懐柔した感じなんですよね。でも、その話のどこに面白さを感じればいいのだろう?と僕は思ってしまったんですけどね。やはり主人公なりの落ちぶれと復活と大活躍を観たかったです。
②理解出来ない行動がいくつかあった
これまた主人公の行動なんですけど、「おいおいそんな事より、それを早くやった方がいいんじゃねーの?」とついつい思ったり、「そこ一緒に行かなきゃダメなの?」と思う場面が多々ありました。ただし、これに関しては女性の行動ってそういうものだから。と言われてしまえば、もしかしたらそうなのかも知れません。
例えば、破れた家族の布を縫えば、母親が熊から人間に戻れるかも知れない!と思い始めて行動に移るのですが、まず観てるこちらも、魔女の魔法の解き方がわからないので、そんなんで大丈夫かいな?と思うヤキモキ感はありますが、まぁそれは置いといて、お城に母親(熊)と一緒に戻る必要はあったのかな?と。どう考えても危険じゃないですか。メリダが一人でサクッと取り戻せば、早かったと思うんですがね。森に置いておくと野生化して危険だからでしょうか?でも、一緒にいたら野生化しないという絶対的な理由はわからないんですけどね。そこが物語を盛り上げる為に、一緒に行動したとしか思えなかったんですよね。
その後、布を取りに行く時に、感動的スピーチをして、それ自体は素敵なんですけど、でも、まだ問題が解決して無いから、それより早く布を取りに行けよ!とか、その後も早く布を縫えよ!と思うシーンばかりで、イライラしながら観てました。まぁそれが女性の行動なのかも知れませんが…。
③全体的にキャラが弱いと思う
主人公の立ち位置が微妙でも、周りのキャラがすごく面白かったりすると楽しかったと思うのですが、全体的にキャラが弱い気がしました。
確かに、三つ子の弟や、花婿候補の3人は面白くなりそうなんですが、面白そうで結局終わっちゃったと言うのが、僕の感想です。
三つ子に関しては、後半ちょっとだけ活躍しますが、花婿候補もあのアホな奴等なりの活躍をもう少しちゃんと観たかったなぁと思いましたね。
スコットランドの話で、なんとなく「ヒックとドラゴン」に世界観が似てるなぁと思って観てたのですが、「ヒックとドラゴン」は、割と他の仲間も後半で活躍してて、そういうシーンでグッと来た思い出があるので、なんかちょっぴり物足りなさを感じてしまったんですよね。
とにかく、もう少しだけキャラを掘り下げられなかったかな~?という気持ちです。
と以上の部分で面白く無かったんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
でも、スコットランド調の音楽も楽しいし、絵も美しいし、場面場面で愉快なシーンも盛りだくさんなので、まぁピクサー作品は観といて損は無いんじゃないでしょうか。
by eigasirouto | 2012-08-06 19:15 | 新作映画(2012)