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ディクテーター 身元不明でニューヨーク   

10/1、新宿武蔵野館にて鑑賞。

ディクテーター 身元不明でニューヨーク
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公式サイト
解説: 『ブルーノ』などのお騒がせ男サシャ・バロン・コーエンが、世界一危険な独裁者を熱演する痛快爆笑ムービー。それまで欲望のままに生きてきた暴君が、ひょんなことからニューヨークに渡り、生まれて初めて庶民の世界を垣間見る様子をブラックな笑いと共に描き出す。将軍の右腕を、『ガンジー』などの名優ベン・キングズレーが好演。観る者を爆笑の渦に巻き込みつつ、時代背景を反映した痛烈な社会批判も込めた力作に脱帽する。
あらすじ: アラジーン将軍(サシャ・バロン・コーエン)は、幼いころから北アフリカにあるワディヤ共和国の独裁者として君臨していた。彼は気に入らない相手を即刻処刑したり、核ミサイルの開発に手を出したりとやりたい放題だったが、ある日、核ミサイルの件で国連から釈明を求められてしまう。そこで将軍は意気揚々とニューヨークに旅立つが、陰謀により捕らえられ、立派な口ひげをそられてしまい……。

さすがですね。当然、好きな人ばかり観に来てるんだろうから、それはそうかもしれませんが、冒頭の〝敬愛なるキム・ジョンイルに捧ぐ〟というメッセージから館内笑いの絶えない105分でしたね。僕もずっと笑ってました。

表面上は、くだらないギャグや下ネタ、差別ネタ、処刑ギャグ、など良識ぶった人達に嫌いそうな笑いなんですが、ただ、一枚皮を剥ぐとサシャ・バロン・コーエンの頭の良さ、したたかな計算と風刺の効いた表現に、恐ろしさを感じます。

「アリ・G」(未鑑賞)、「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」、「ブルーノ」とアメリカを中心にモキュメンタリースタイルで世界をからかいまくったサシャ・バロン・コーエンの新作です。前3作のモキュメンタリーはわかりやすく言うと「電波少年」的な事をもっと過激に、そしてスタジオでのつっこみも無く、ディレクターからやらされてる訳じゃなく、警察を呼ばれたり、殺されかける所までやると言う、恐るべき芸人根性で世界を笑わせました。普通に、いつ殺されてもおかしく無さそうですが、かと思えば、「ヒューゴの不思議な発明」で、素晴らしい泣かせる役をやったりもしているサシャ・バロン・コーエン。で、前3作との大きな相違点は、今回はモキュメンタリーでは無く、劇映画と言う点です。だから惜しいと言えば惜しいのかも知れませんが、逆にこういう政治ネタ系が嫌いな日本の観客にとっては、逆に安心して笑えるかも知れないとは思います。僕もテレビのバラエティにケチつけるPTAとかに普段うるさいなぁと思ってるけど、「ボラット~」「ブルーノ」は基本ゲラゲラ笑ってますが、時々、やり過ぎて相手がかわいそうに思ったりしてますから、今回のは普通に作り物だから気にせず笑えましたね。まぁそういうケチをつけるPTA的な感覚の人は、これでも大激怒しそうですけどね。

独裁者を題材にしたコメディと言えば、ほぼ同時期に鑑賞した「アイアン・スカイ」の中に何度も登場した、チャップリンの「独裁者」が一番に思い付くと思うのですが、チャップリンの方は、非常に皮肉の効いた風刺のコメディだと思うのですが、今作は、狂ったギャグの中に風刺が入ってる感じと言いますか、くだらないギャグ>風刺と言う感じでしょうか。だから風刺を求めて劇場に行くと面喰うかも知れませんが…。

それとコメディじゃないですけど最近鑑賞した「デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-」も、ちょっと連想したりしましたね。独裁者にはやっぱり影武者がいるよね。とか思ったり、やりたい放題やってる所とか。サシャ演じるアラジーンと言う独裁者も、コメディタッチで描いてるけど、トチ狂ってて極悪非道ですからね。見せ方で観客は笑っちゃいますけど。アラジーンは何かと言えば、処刑ですからね。核兵器の先っぽが尖ってるか尖って無いかで口論になっただけで、その科学者を処刑にしたり。で、覚えて無いと言う。リアルだったらたまりませんよ。

とにかく、北アフリカのワディヤ共和国と言う架空の国の独裁者として、やりたい放題のアラジーン。国の200の言葉をアラジーンに変えたせいで、YESもNOもアラジーンと言う独裁っぷり。(ジョージ・オーウェルの「1984年」と言う小説のパロディみたいです。)医者に「今日はアラジーンな話とアラジーンな話があるけど、どっちから聞きたいか?」と言われ、患者が「じゃあアラジーンな話で」と答える様なちょっと気の利いた知的なギャグの後に、ただのくだらないギャグが入ったり、すぐに処刑したり、核兵器を開発しようとしてたり、デリヘル嬢みたいな感じで、ミーガン・フォックス(本人役)とヤッて「泊って行きなよ~」「明日は、イタリア大統領の相手だから無理」とか言わせて、一緒に写真を撮って、それを壁に貼ったら、そこには大量のベットを共にしたハリウッドスター達の写真が飾られてて、独裁者っぷりを権力者っぷりをコミカルに見せて行きます。

そんな感じでやりたい放題やってたけど、核兵器の所有が国連で問題になってニューヨークで演説をする流れになるのですが、そこで裏切りに合い、象徴である髭を剃られて、ニューヨークの街に放り出されます。その間、アホな影武者が言われるがままに、ワディヤ共和国を民主主義国家にすると演説してしまって、アラジーンからすれば、大変だとして何とか独裁者に返り咲こうという話です。

街頭テレビでリベラルな人達が、偽アラジーンの演説を抗議活動をしながら見守ってるのですが、そこに本物だけど髭の無いアラジーンが来て、一緒にテレビを観てるのですが、偽物に対して、本物が「あいつは本物の権力者じゃない!」と言い放つのですが、リベラルな活動家達が〝ふさわしくない〟の意味に捉えて、一緒に「あいつは本物の権力者じゃない!」と連呼する所とかも結構好きでしたね。そこで知り合ったリベラルな女と仲良くなって、そいつが店長を務めるスーパーで働く事になって…と言う流れなのですが、全部書いてしまうと意味無いので、この辺で。

とても笑える作品でした!

by eigasirouto | 2012-10-16 17:57 | 新作映画(2012)

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