アウトレイジ ビヨンド   

10/12、新宿バルト9にて鑑賞。

アウトレイジ ビヨンド
a0250573_23222150.jpg

公式サイト
解説: 世界中から熱い注目を浴びる北野武監督が、巨大暴力団組織の内部抗争をバイオレンス描写たっぷりに描いた『アウトレイジ』の続編。前作で死んだはずの元山王会大友組組長・大友がまさかの復活を果たし、関東と関西の二大暴力団の抗争に組織壊滅を図る警察の思惑が絡み合い、その渦中に大友が巻き込まれていく。前作から続投するビートたけし、三浦友和、加瀬亮、小日向文世らをはじめ、新たに登場する西田敏行、高橋克典、新井浩文、塩見三省、中尾彬らの悪人ぶりが見もの。
あらすじ: 5年前、ヤクザ界での生き残りを懸け壮絶な権力闘争に明け暮れた暴力団「山王会」は関東の頂点を極め、政界にまで勢力を広げていた。彼らの壊滅を目指す刑事の片岡(小日向文世)は、関西最大の「花菱会」と対立させるべく策略を練る。そんな中、遺恨のある木村(中野英雄)に刺されて獄中で死んだはずの大友(ビートたけし)が生きていたという事実が持ち上がる。その後、出所した大友だったが……。

隣の席のカップルが田舎のヤンキー風の男とキャバ嬢だったけど、意外と礼儀正しかったぞコノヤロー!でも、時々、スマートフォンをいじるから液晶画面の光が気になるんだバカヤロー!

という、もう「アウトレイジ」鑑賞あるあるでは、ベッタベタなあるあるから入った訳ですが、前作越えしてるじゃねーかコノヤロー!!って感じですね。

いや、鑑賞後にお客さんの中で、前の方が面白かった。と言う声も聞こえて来たんですよ。謎のおばあちゃん二人組の。で、それを聞いた若い男2人も、この出来じゃあそう思うよね。と聞こえて来たんですよ。でも、僕はそれは違うと思いますね。それは単純に前作の方がエンターテイメントとして、わかりやすかっただけ。じゃないでしょうか?今作には、本当にたけしさんのメッセージが、生の本音が入ってるんじゃないか?と思い、そこが非常に興味深かったです。

とりあえず、その件はひとまず置かせて下さい。

前作を観て無い人には、なんのこっちゃわからないし、今作のネタバレになるかも知れませんが、今回は前回と正反対の立場の人達が勝つ展開になりましたね。
要するに、どういう人達が死んで行くのか?って事ですが、前作で生き残った汚く計算高いインテリやくさの連中を愚直で昔気質の大友(ビートたけし)が、復讐して行くと言う事です。
ある意味、勧善懲悪になっているし、前作の後味の悪い終わり方も、それはそれで僕は好きなんですが、やっぱり今作のカタルシスはたまらないですよ。ムカつく奴らが殺される訳だから。だから1,2をセットで鑑賞するとより、今回のラスト方面はスカッとしますよね。

そして、特筆すべきは、回想などで、前作のシーンを使ったり一切しなかった潔さ。これはたけしさんのこだわりだと思うのですが、回想無しで、あんな複雑な人間関係を伝えきるというのは、さすがだなぁと思います。

それと前作に引き続き、人選が面白いですね。関西の花菱会の会長に神山繁さん、若頭に西田敏行さん、その下に塩見三省さん…と素晴らしいです。特に塩見三省さんの顔はリアルに怖いですからね。本当にヤクザだと信じて疑いませんでした。西田敏行さんなんか、猪八戒とか釣りキチのあの人の役が多くて、ドジないい人の役が多いと思うのですが、やっぱり本当は怖い人なんじゃないかしら?と思わせる迫力でしたね。
一方、こちらも今回から参戦の韓国フィクサーと言うのもいるのですが、そのボスを金田時男と言う誰も知らない、たけしさんの知り合いをチョイスしています。それが逆にリアルと言うか。でも、その脇にしっかりと名優の白竜さんを置いてましたね。
それと好きだったのは、ヤクザ憧れ的な位置にいる、桐谷健太さんと新井浩文も切なくてかっこ良かったです。色んな日本映画で素晴らしい演技と存在感を魅せる2人が、大御所俳優さん達に負けず劣らずの素晴らしい存在感を出してました。
それと高橋克典さんも全く台詞が無いけど、かっこよかったです!確か、急遽本人からたけしさんに出演したいと依頼があって、たけしさんも無理矢理入れたと言ってたんで、エキストラ的な役なのに強過ぎ!とは、思いましたが。
他にも、山王会に実はこんな人達がいました軍団の中尾彬さん、名高達男さん、光石研さんのズッコケ3人組(ウソ)、刑事の松重豊さんと邦画界の貴重な人材を存分にたけしさん流に使ってましたね。
と、新メンバーだけでも、どれだけ名のある人達を使ってるんだ!と思いますが、そこに前作に引き続き、三浦友和さん、小日向文世さん、加瀬亮さん、中野英雄さんが登場します。前作にも出てる人は、この世界に置いて、親近感湧きますね。

これらの出演者がそれぞれ素晴らしい演技と存在感でひしめき合う中、やっぱりたけしさんが、その中でひときわ輝きますね。もうなんなんでしょうか?あの存在感は…。

演者は本当に皆、素晴らしいんですが、やっぱり僕はちょっと加瀬亮さんが叫ぶ時の迫力の無さが若干気になりました。特に前半は加瀬亮さんがいきがってるシーンが多いので。まぁでもそれが良いと言ってる人も多くいるので、僕の個人的な感想です。

それで、先に述べた前作の方が、エンターテイメントとして、わかりやすかったと言う部分ですが、前作の見所はありとあらゆる楽しい殺し方。にあったと思うのですが、今作は変わった殺し方は一つだけ(野球の)で、もう一つ拷問シーンでうわーってのはありましたけど、後は、基本、銃殺でしたね。でも、逆に前作は殺しのインフレが起こってたと思うのですが、今作は、野球の殺すシーンが一際際立ってて、怖いなぁと思いましたね。

でも、今作は、そういう殺し方大喜利的な部分に重きを置いて無くて、騙し騙されの頭脳戦こそが見せ所なので、前作みたいなのを期待するとちょっと違うと思う人もいるのかな~?とか思ったりしました。僕なんかはそこが非常に楽しかったですし。

そして、最初に言ったたけしさんのメッセージが詰まってるんじゃないか?と言う部分の話なんですが、初期たけし映画のたけしさんって、いつも人生の無常感に囚われて死のう死のうと生き急いでいたと思うんですよ。そして、前作の捕まってでも生き延びようとするたけしさんと言う、いままでと違うたけしさんを見せた訳ですが、今作もそこは引き続き、小日向さんに煙草をもらって、「いらねーよ」「先輩、まだ生き延びようとしてるんですか?」「うるせーよ、バカヤロー」(←ここでちょっと笑いながら言ってるのが、素晴らしい)と言うやりとりで、年を取って逆に長生きしたくなった。というメッセージなのか、自分への皮肉なのかわかりませんが、これ本音っぽいなぁとか思ったり。

また、何度も「もうヤクザやめたい」という台詞を言ったり、権力やあてがわれた女に興味を示さなかったりとこれもまんま本音なんじゃないかと思う訳です。「もうヤクザやりたくない」→「でも求められるからとりあえず、この仕事だけしてる」が、そのまま「もうヤクザ映画撮りたくない」→「でも求められる(略)」と言う気もしますし、おそらく芸能界でも最強に近い権力を持っているたけしさんのそこに全く魅力を感じて無い感も出てると僕は思ったんですけどね。

更に、前作はどうせ器用で要領のいい奴が勝つんだよ。という結論に対する今作のアンチテーゼは、数多くの職業監督に対し、芸人出身で映画界では異端児であるたけしさんなりの逆襲では無いでしょうか。

考え過ぎですかね?
[PR]

by eigasirouto | 2012-10-20 00:43 | 新作映画(2012)

<< ボラット 栄光ナル国家カザフス... 孫文の義士団 >>