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アウトレイジ ビヨンド   

10/12、新宿バルト9にて鑑賞。

アウトレイジ ビヨンド
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公式サイト
解説: 世界中から熱い注目を浴びる北野武監督が、巨大暴力団組織の内部抗争をバイオレンス描写たっぷりに描いた『アウトレイジ』の続編。前作で死んだはずの元山王会大友組組長・大友がまさかの復活を果たし、関東と関西の二大暴力団の抗争に組織壊滅を図る警察の思惑が絡み合い、その渦中に大友が巻き込まれていく。前作から続投するビートたけし、三浦友和、加瀬亮、小日向文世らをはじめ、新たに登場する西田敏行、高橋克典、新井浩文、塩見三省、中尾彬らの悪人ぶりが見もの。
あらすじ: 5年前、ヤクザ界での生き残りを懸け壮絶な権力闘争に明け暮れた暴力団「山王会」は関東の頂点を極め、政界にまで勢力を広げていた。彼らの壊滅を目指す刑事の片岡(小日向文世)は、関西最大の「花菱会」と対立させるべく策略を練る。そんな中、遺恨のある木村(中野英雄)に刺されて獄中で死んだはずの大友(ビートたけし)が生きていたという事実が持ち上がる。その後、出所した大友だったが……。

隣の席のカップルが田舎のヤンキー風の男とキャバ嬢だったけど、意外と礼儀正しかったぞコノヤロー!でも、時々、スマートフォンをいじるから液晶画面の光が気になるんだバカヤロー!

という、もう「アウトレイジ」鑑賞あるあるでは、ベッタベタなあるあるから入った訳ですが、前作越えしてるじゃねーかコノヤロー!!って感じですね。

いや、鑑賞後にお客さんの中で、前の方が面白かった。と言う声も聞こえて来たんですよ。謎のおばあちゃん二人組の。で、それを聞いた若い男2人も、この出来じゃあそう思うよね。と聞こえて来たんですよ。でも、僕はそれは違うと思いますね。それは単純に前作の方がエンターテイメントとして、わかりやすかっただけ。じゃないでしょうか?今作には、本当にたけしさんのメッセージが、生の本音が入ってるんじゃないか?と思い、そこが非常に興味深かったです。

とりあえず、その件はひとまず置かせて下さい。

前作を観て無い人には、なんのこっちゃわからないし、今作のネタバレになるかも知れませんが、今回は前回と正反対の立場の人達が勝つ展開になりましたね。
要するに、どういう人達が死んで行くのか?って事ですが、前作で生き残った汚く計算高いインテリやくさの連中を愚直で昔気質の大友(ビートたけし)が、復讐して行くと言う事です。
ある意味、勧善懲悪になっているし、前作の後味の悪い終わり方も、それはそれで僕は好きなんですが、やっぱり今作のカタルシスはたまらないですよ。ムカつく奴らが殺される訳だから。だから1,2をセットで鑑賞するとより、今回のラスト方面はスカッとしますよね。

そして、特筆すべきは、回想などで、前作のシーンを使ったり一切しなかった潔さ。これはたけしさんのこだわりだと思うのですが、回想無しで、あんな複雑な人間関係を伝えきるというのは、さすがだなぁと思います。

それと前作に引き続き、人選が面白いですね。関西の花菱会の会長に神山繁さん、若頭に西田敏行さん、その下に塩見三省さん…と素晴らしいです。特に塩見三省さんの顔はリアルに怖いですからね。本当にヤクザだと信じて疑いませんでした。西田敏行さんなんか、猪八戒とか釣りキチのあの人の役が多くて、ドジないい人の役が多いと思うのですが、やっぱり本当は怖い人なんじゃないかしら?と思わせる迫力でしたね。
一方、こちらも今回から参戦の韓国フィクサーと言うのもいるのですが、そのボスを金田時男と言う誰も知らない、たけしさんの知り合いをチョイスしています。それが逆にリアルと言うか。でも、その脇にしっかりと名優の白竜さんを置いてましたね。
それと好きだったのは、ヤクザ憧れ的な位置にいる、桐谷健太さんと新井浩文も切なくてかっこ良かったです。色んな日本映画で素晴らしい演技と存在感を魅せる2人が、大御所俳優さん達に負けず劣らずの素晴らしい存在感を出してました。
それと高橋克典さんも全く台詞が無いけど、かっこよかったです!確か、急遽本人からたけしさんに出演したいと依頼があって、たけしさんも無理矢理入れたと言ってたんで、エキストラ的な役なのに強過ぎ!とは、思いましたが。
他にも、山王会に実はこんな人達がいました軍団の中尾彬さん、名高達男さん、光石研さんのズッコケ3人組(ウソ)、刑事の松重豊さんと邦画界の貴重な人材を存分にたけしさん流に使ってましたね。
と、新メンバーだけでも、どれだけ名のある人達を使ってるんだ!と思いますが、そこに前作に引き続き、三浦友和さん、小日向文世さん、加瀬亮さん、中野英雄さんが登場します。前作にも出てる人は、この世界に置いて、親近感湧きますね。

これらの出演者がそれぞれ素晴らしい演技と存在感でひしめき合う中、やっぱりたけしさんが、その中でひときわ輝きますね。もうなんなんでしょうか?あの存在感は…。

演者は本当に皆、素晴らしいんですが、やっぱり僕はちょっと加瀬亮さんが叫ぶ時の迫力の無さが若干気になりました。特に前半は加瀬亮さんがいきがってるシーンが多いので。まぁでもそれが良いと言ってる人も多くいるので、僕の個人的な感想です。

それで、先に述べた前作の方が、エンターテイメントとして、わかりやすかったと言う部分ですが、前作の見所はありとあらゆる楽しい殺し方。にあったと思うのですが、今作は変わった殺し方は一つだけ(野球の)で、もう一つ拷問シーンでうわーってのはありましたけど、後は、基本、銃殺でしたね。でも、逆に前作は殺しのインフレが起こってたと思うのですが、今作は、野球の殺すシーンが一際際立ってて、怖いなぁと思いましたね。

でも、今作は、そういう殺し方大喜利的な部分に重きを置いて無くて、騙し騙されの頭脳戦こそが見せ所なので、前作みたいなのを期待するとちょっと違うと思う人もいるのかな~?とか思ったりしました。僕なんかはそこが非常に楽しかったですし。

そして、最初に言ったたけしさんのメッセージが詰まってるんじゃないか?と言う部分の話なんですが、初期たけし映画のたけしさんって、いつも人生の無常感に囚われて死のう死のうと生き急いでいたと思うんですよ。そして、前作の捕まってでも生き延びようとするたけしさんと言う、いままでと違うたけしさんを見せた訳ですが、今作もそこは引き続き、小日向さんに煙草をもらって、「いらねーよ」「先輩、まだ生き延びようとしてるんですか?」「うるせーよ、バカヤロー」(←ここでちょっと笑いながら言ってるのが、素晴らしい)と言うやりとりで、年を取って逆に長生きしたくなった。というメッセージなのか、自分への皮肉なのかわかりませんが、これ本音っぽいなぁとか思ったり。

また、何度も「もうヤクザやめたい」という台詞を言ったり、権力やあてがわれた女に興味を示さなかったりとこれもまんま本音なんじゃないかと思う訳です。「もうヤクザやりたくない」→「でも求められるからとりあえず、この仕事だけしてる」が、そのまま「もうヤクザ映画撮りたくない」→「でも求められる(略)」と言う気もしますし、おそらく芸能界でも最強に近い権力を持っているたけしさんのそこに全く魅力を感じて無い感も出てると僕は思ったんですけどね。

更に、前作はどうせ器用で要領のいい奴が勝つんだよ。という結論に対する今作のアンチテーゼは、数多くの職業監督に対し、芸人出身で映画界では異端児であるたけしさんなりの逆襲では無いでしょうか。

考え過ぎですかね?
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by eigasirouto | 2012-10-20 00:43 | 新作映画(2012)

孫文の義士団   

10/9、DVDにて鑑賞。

孫文の義士団
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公式サイト
解説: 1906年、辛亥革命前夜の香港を舞台に、中心人物である孫文の暗殺計画を阻止するための、8人のボディーガードたちの戦いを描く歴史アクション巨編。『the EYE』シリーズのプロデューサー、ピーター・チャンと『アクシデンタル・スパイ』のテディ・チャン監督がタッグを組み、辛亥革命の舞台裏で起こった激動の物語を壮大なスケールで活写。ドニー・イェン、ニコラス・ツェーら実力派の共演、信念のために戦う男たちの覚悟が感動を呼ぶ。
あらすじ: 1906年、辛亥革命前夜の香港、腐敗した清朝の打倒を目指す孫文が香港を訪れ、武装蜂起の密談に臨む情報を入手した活動家の陳少白は、同時に清朝政府が刺客を派遣したことも知る。少白は孫文を守るために護衛団の結成に奔走するが、集まったのは町の商人や物ごいに身を落とした武術家など、名もない民間人たちだった。

僕は割と歴史が好きなのですが、この辺の中国の歴史には全く明るくないので、最初に孫文と言われても、三国志より前の時代の人かな?くらいに思ってたバカです。孫子かなんかと勘違いしてました。まぁ特にそういう歴史を知らなくても楽しめる作品なので問題無いのですが。

香港アクション界のスーパースターで「イップ・マン」シリーズでお馴染みのドニー・イェンが、まさかのダメ男役で驚きなのですが、しかしいざカンフーシーンになるとやっぱり強い!と言う感じでテンション上がりました!

劇団員の娘、大男、浮浪者…と義士団は超個性的なメンバーで、彼らの戦いを観てるだけでも楽しかったです。ちなみにドニー・イェンの役は、影で支えるサポートメンバーという感じでした。

先に述べましたが、その辺の歴史に全く詳しくないので、歴史考証などは全く出来ませんが、まぁ歴史を元にしたフィクションって感じでしょうね。

このブログでは初の香港映画ですが、これからもっと鑑賞して行きたいですね!
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by eigasirouto | 2012-10-19 23:15 | 旧作(2012年鑑賞)

クヒオ大佐   

10/8、DVDにて鑑賞。

クヒオ大佐
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解説: 吉田和正原作の「結婚詐欺師 クヒオ大佐」を映画化した、型破りな人間ドラマ。日本人でありながら西洋人のような容ぼうを生かし、自分はアメリカ空軍のパイロットなどと偽って女性たちから約1億円を巻き上げた実在の結婚詐欺師の真の姿に迫る。どこか憎めない詐欺師役に『南極料理人』の堺雅人。彼に無償の愛をささげる女性を『余命』の松雪泰子らが熱演する。付け鼻をして、何とも不思議な主人公に成り切った堺と3人の女性たちの物語に夢中になる。
あらすじ: 1990年代初頭、クヒオ(堺雅人)は、自分はアメリカ軍特殊部隊のパイロットで、エリザベス女王とも血縁関係にあたるなどと吹聴し、次々と女性たちをだましていた。だが、実際彼は純粋な日本人で、華麗な経歴もすべて自ら作り出したものだった。弁当店を営むしのぶ(松雪泰子)も彼の立派な軍服姿にころりとだまされ、懸命にクヒオに尽くすが……。

吉田大八監督作品を制覇しました!
「桐島、部活やめるってよ」を映画館で鑑賞して、これはただ事じゃないと思いまして、吉田監督の「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」、と「パーマネント野ばら」を鑑賞した訳ですが、どちらも素晴らしく面白くて、今作も非常に惹き込まれました。

吉田監督の特徴は…まぁ全部原作ありきの作品なのですが、主人公がとても褒められた人物じゃない。と言うのが特徴でしょうか?「桐島~」に関しては、主人公が誰か?と言う問題はありますが、皆、それぞれに闇を抱えてると思いますし。褒められたもんじゃないと言うよりも、人間の嫌な部分をえぐり出すと言うか、それを観てるこっちも持ち合わせてる要素なので、凄くこちらも揺さぶられるんですけど、でも、それを否定してる訳じゃなくて、少し前向きにも思える感じでしょうか。ジェイソン・ライトマンと同じ様メッセージ性を持ってる様な気もしますね。

また、CMディレクター出身だからか、映像で結構遊んでると言う印象も受けます。
例えば、「腑抜けども~」なら漫画の世界になったり、今作で急に空が真っ黒になって、カミナリがゴロゴロなったりします。

映画監督になる方法「私はこうして監督になりました」(日本映画監督協会 座談会)で、隅田靖監督、吉田大八監督、山下敦弘監督の対談で色々と興味深い事が書かれてますので、興味のある方は是非、読んでみて下さい。吉田監督のCMと映画は全然やり方が違うと言うのも、なかなか面白い話でした。

それで、クヒオ大佐の話なんですが、実在の人物を元にしたフィクションと言う事です。1984年に結婚詐欺の疑いで逮捕された人物で、僕はうっすら聞いた事あるくらいの知識でした。ちなみに原作は未読です。その状態で鑑賞したのですが、フィクションという事で、時代も変更されてて、アメリカが最初のイラク戦争を開始した時代(2003年)に変更されていました。

第一部で、イラク戦争開戦で日本政府がどう対応するべきか?でてんわやんわしている映像が始まるのですが、僕はてっきり何か違うモノをレンタルしたのではないか?と不安になりましたが、そこは大丈夫でした。それは、アメリカ人になりすましているクヒオこと竹内武男(堺雅人)の言ってる事とアメリカの言ってる事が、本質的に同じである。と言うメタファーであり、皮肉になっていると言うが、段々わかりました。

クヒオは、健気に信じる幸の薄そうな永野しのぶ(松雪泰子)を都合よく利用して、果敢に浅岡春(満島ひかり)や須藤未知子(中村優子)等にも手を出そうとします。満島ひかりと安藤サクラが同じ職場で働いてるんですが、「愛のむきだし」で一緒にやってた二人をチョイスする事で、二人のコンビ感、友達感がハマってて、アンサンブルとして素晴らしいと思います。

それで、結婚詐欺をする男の話と言えば、つい最近観た「夢売るふたり」とどうしても比べちゃいますけど、やっぱり「夢売る~」みたいに、上手くはいかないよね?と言う展開で、割と早い段階で詐欺に気付く人物が出て来ますし、騙されてる女側の事情も丁寧に丁寧に描くので、そこまで見せられると騙されるのも無理は無い!と納得出来る作りだったと思います。

基本、コメディタッチで進んで行って、徐々にクヒオの人物像が浮かび上がって来て、ついに…と言う展開になるのですが、楽しい作品ですので、是非、ご覧ください!
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by eigasirouto | 2012-10-17 02:05 | 旧作(2012年鑑賞)

吉田大八   

吉田大八
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フィルモグラフィ
赤文字は、鑑賞済です。またこのブログに感想のある作品は、クリックでそのページに行けます。また鑑賞してても、あまり記憶にないものは、未鑑賞扱いにしています。
監督作品
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
クヒオ大佐
パーマネント野ばら 2010
桐島、部活やめるってよ 2012年

ショートムービー
男の子はみんな飛行機が好き(出演:三浦友和)*『SO-RUN MOVIE ソーラン・ムービー』の中の1編
dolce 実況ホテル/2つの教室/カリスマ写真家
ミツワ

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by eigasirouto | 2012-10-17 00:50 | 映画人物

ディクテーター 身元不明でニューヨーク   

10/1、新宿武蔵野館にて鑑賞。

ディクテーター 身元不明でニューヨーク
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公式サイト
解説: 『ブルーノ』などのお騒がせ男サシャ・バロン・コーエンが、世界一危険な独裁者を熱演する痛快爆笑ムービー。それまで欲望のままに生きてきた暴君が、ひょんなことからニューヨークに渡り、生まれて初めて庶民の世界を垣間見る様子をブラックな笑いと共に描き出す。将軍の右腕を、『ガンジー』などの名優ベン・キングズレーが好演。観る者を爆笑の渦に巻き込みつつ、時代背景を反映した痛烈な社会批判も込めた力作に脱帽する。
あらすじ: アラジーン将軍(サシャ・バロン・コーエン)は、幼いころから北アフリカにあるワディヤ共和国の独裁者として君臨していた。彼は気に入らない相手を即刻処刑したり、核ミサイルの開発に手を出したりとやりたい放題だったが、ある日、核ミサイルの件で国連から釈明を求められてしまう。そこで将軍は意気揚々とニューヨークに旅立つが、陰謀により捕らえられ、立派な口ひげをそられてしまい……。

さすがですね。当然、好きな人ばかり観に来てるんだろうから、それはそうかもしれませんが、冒頭の〝敬愛なるキム・ジョンイルに捧ぐ〟というメッセージから館内笑いの絶えない105分でしたね。僕もずっと笑ってました。

表面上は、くだらないギャグや下ネタ、差別ネタ、処刑ギャグ、など良識ぶった人達に嫌いそうな笑いなんですが、ただ、一枚皮を剥ぐとサシャ・バロン・コーエンの頭の良さ、したたかな計算と風刺の効いた表現に、恐ろしさを感じます。

「アリ・G」(未鑑賞)、「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」、「ブルーノ」とアメリカを中心にモキュメンタリースタイルで世界をからかいまくったサシャ・バロン・コーエンの新作です。前3作のモキュメンタリーはわかりやすく言うと「電波少年」的な事をもっと過激に、そしてスタジオでのつっこみも無く、ディレクターからやらされてる訳じゃなく、警察を呼ばれたり、殺されかける所までやると言う、恐るべき芸人根性で世界を笑わせました。普通に、いつ殺されてもおかしく無さそうですが、かと思えば、「ヒューゴの不思議な発明」で、素晴らしい泣かせる役をやったりもしているサシャ・バロン・コーエン。で、前3作との大きな相違点は、今回はモキュメンタリーでは無く、劇映画と言う点です。だから惜しいと言えば惜しいのかも知れませんが、逆にこういう政治ネタ系が嫌いな日本の観客にとっては、逆に安心して笑えるかも知れないとは思います。僕もテレビのバラエティにケチつけるPTAとかに普段うるさいなぁと思ってるけど、「ボラット~」「ブルーノ」は基本ゲラゲラ笑ってますが、時々、やり過ぎて相手がかわいそうに思ったりしてますから、今回のは普通に作り物だから気にせず笑えましたね。まぁそういうケチをつけるPTA的な感覚の人は、これでも大激怒しそうですけどね。

独裁者を題材にしたコメディと言えば、ほぼ同時期に鑑賞した「アイアン・スカイ」の中に何度も登場した、チャップリンの「独裁者」が一番に思い付くと思うのですが、チャップリンの方は、非常に皮肉の効いた風刺のコメディだと思うのですが、今作は、狂ったギャグの中に風刺が入ってる感じと言いますか、くだらないギャグ>風刺と言う感じでしょうか。だから風刺を求めて劇場に行くと面喰うかも知れませんが…。

それとコメディじゃないですけど最近鑑賞した「デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-」も、ちょっと連想したりしましたね。独裁者にはやっぱり影武者がいるよね。とか思ったり、やりたい放題やってる所とか。サシャ演じるアラジーンと言う独裁者も、コメディタッチで描いてるけど、トチ狂ってて極悪非道ですからね。見せ方で観客は笑っちゃいますけど。アラジーンは何かと言えば、処刑ですからね。核兵器の先っぽが尖ってるか尖って無いかで口論になっただけで、その科学者を処刑にしたり。で、覚えて無いと言う。リアルだったらたまりませんよ。

とにかく、北アフリカのワディヤ共和国と言う架空の国の独裁者として、やりたい放題のアラジーン。国の200の言葉をアラジーンに変えたせいで、YESもNOもアラジーンと言う独裁っぷり。(ジョージ・オーウェルの「1984年」と言う小説のパロディみたいです。)医者に「今日はアラジーンな話とアラジーンな話があるけど、どっちから聞きたいか?」と言われ、患者が「じゃあアラジーンな話で」と答える様なちょっと気の利いた知的なギャグの後に、ただのくだらないギャグが入ったり、すぐに処刑したり、核兵器を開発しようとしてたり、デリヘル嬢みたいな感じで、ミーガン・フォックス(本人役)とヤッて「泊って行きなよ~」「明日は、イタリア大統領の相手だから無理」とか言わせて、一緒に写真を撮って、それを壁に貼ったら、そこには大量のベットを共にしたハリウッドスター達の写真が飾られてて、独裁者っぷりを権力者っぷりをコミカルに見せて行きます。

そんな感じでやりたい放題やってたけど、核兵器の所有が国連で問題になってニューヨークで演説をする流れになるのですが、そこで裏切りに合い、象徴である髭を剃られて、ニューヨークの街に放り出されます。その間、アホな影武者が言われるがままに、ワディヤ共和国を民主主義国家にすると演説してしまって、アラジーンからすれば、大変だとして何とか独裁者に返り咲こうという話です。

街頭テレビでリベラルな人達が、偽アラジーンの演説を抗議活動をしながら見守ってるのですが、そこに本物だけど髭の無いアラジーンが来て、一緒にテレビを観てるのですが、偽物に対して、本物が「あいつは本物の権力者じゃない!」と言い放つのですが、リベラルな活動家達が〝ふさわしくない〟の意味に捉えて、一緒に「あいつは本物の権力者じゃない!」と連呼する所とかも結構好きでしたね。そこで知り合ったリベラルな女と仲良くなって、そいつが店長を務めるスーパーで働く事になって…と言う流れなのですが、全部書いてしまうと意味無いので、この辺で。

とても笑える作品でした!
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by eigasirouto | 2012-10-16 17:57 | 新作映画(2012)

最強のふたり   

10/1、新宿武蔵野館で鑑賞しました。

最強のふたり
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公式サイト
解説: 車いすで生活している大富豪と介護者として雇われた黒人青年が垣根を越えて友情を結ぶ、実話を基にしたヒューマン・コメディー。年齢や環境、好みも異なる二人が、お互いを認め合い、変化していくプロセスを描いていく。監督は、本作が長編4作目となるエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュのコンビ。主演は、『歌え! ジャニス★ジョプリンのように』のフランソワ・クリュゼと『ミックマック』のオマール・シー。フランス本国のみならずヨーロッパで記録的なヒットを樹立した、笑いと感動に包まれた良質なコメディーを堪能できる。
あらすじ: 不慮の事故で全身麻痺(まひ)になってしまった大富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、新しい介護者を探していた。スラム出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)は生活保護の申請に必要な不採用通知を目当てに面接にきた不届き者だったが、フィリップは彼を採用することに。すべてが異なる二人はぶつかり合いながらも、次第に友情をはぐくんでいき……。

これは、まず視点についての映画じゃないかと思うのです。

一般的に言う所の社会の底辺で生きているドリス(オマール・シー)の視点はとにかく純粋です。

障害者に気を遣うのも、また差別だと思うのですが、ドリスには、障害者であるフィリップ(フランソワ・クリュゼ)に対して、全く気を遣ったりしませんし、偽善もありません。

また、絵画やオペラやら、金持ちが芸術だと価値を見出してる物をバカバカしい事と捉えています。特にオペラ演劇の時、急に歌い出す役者を観て彼は爆笑するのですが、僕はそこがツボで笑いが止まらなくなりました。

そんな彼を学の無い無知なバカ。と捉える人もいるでしょう。しかし、知識があるからこそ見落とす物もあるんじゃないか?と言う事をドリスを通じ、映画を通じて、改めて学んだ気がします。知識があるとそう言うものだ。と思ってしまうと言う事は往々にしてあると思います。子供の頃にオペラを観た時に、僕も笑いましたし、ピカソの絵だって下手くそだと思ったものです。ただ、知識が入っちゃうともうそういう見方は出来ないですからね。でも改めて考えるとやっぱりこれって変かもよ~?と言うメッセージも無きにしもあらずじゃないでしょうか。

そもそも芸術って何だろう?と言う問いと、芸術に群がる金持ちのおかしさを浮き上がらせてると言う部分では、僕の2011年の新作1位だった「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」にも通じるテーマもあったと思います。

と、そんな風に何も知らない純粋なドリスは、我々に純粋視点を思い出させてくれます。

そんなドリスは、障害者フィリップにも容赦ないです。チョコを食べてて、フィリップが欲しがっても「これは健常者用だ」とおちょくってみたり、マリファナやら煙草やら吸わせてみたりとダチ感覚で接します。前科もあり問題児とされるドリスですが、フィリップにとっては、自分に気を遣わないドリスを気に入り受け入れます。

ここで、重要なのは、こういう感動話になりそうな話をギャグで描いてる所が素晴らしいなと思いました。それで行くと「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」にも似てるなぁと思いました。

フィリップ金持ち過ぎだし、他の介護者に対して、つんけんし過ぎ!と言うのは、ちょっと気になりましたけど、総合的に面白くて、最後はグッと来る映画でした。

後、ベテラン介護士のおばちゃんがよかったです。
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by eigasirouto | 2012-10-06 00:45 | 新作映画(2012)