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哀しき獣追記2   

前回までに、韓国ノワール映画について、ナ・ホンジン監督について、朝鮮族について、黄海について、登場人物についての説明をしました。
「哀しき獣」こちら
「哀しき獣」追記→こちら

最初の感想でも、この様に書きました。
面白い、ひたすら面白い、凄い、ひたすら凄い。ただ、俺の頭脳では、後半ストーリーを追うのに必死になってしまった。この映画を100%楽しめたのか?100%理解出来たのか?と言う感じです。
まさにこの通りで、なぜそうかの説明もしたと思います。どうこの話は面白いのか、凄いのかをネタバレに注意しながら書いて行きたいと思います。※結果、ネタバレになったらすみません。

まず、僕は、悪役のミョン(キム・ユンソク)が、すごーーーーーーく好きになりましたよ。先ほども貼りましたが
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どうですかこの顔?すごく良くないですか?悪人として、すごく説得力あるんですが、愛嬌もあるんですよ。非道な事ばかり平気でやって、酷い!と思いつつもどこか憎めない人なんですよ。そして、メチャメチャ強いという。ちなみにこの映画の特徴として、警察以外、マフィアなのに拳銃を使わないんですよ。大体、皆、武器はナイフとかで戦ってるんですが、ミョンは手斧で敵をぶっ殺して行くんですよ。しかも、武器が無い時には何かの獣の大きい骨(牛骨?)で、刃物を持ってる奴らを撲殺したりもします。半端ないサバイバル能力を見せ付けてくれるんです。でも、普段は愛嬌の良いただの小太りのおっさんで、ちょっとかわいらしいんですよ。なんか皆がミョンに着いて行く感じに説得力があるんですよ。怖いだけじゃなく、漢としての魅力が非常に溢れてるとでも言いましょうか。それで結構、頭もキレますからねぇ。
僕のここ最近の悪役スターと言えば、
「ダークナイト」のジョーカー(ヒース・レジャー)
「十三人の刺客」の松平左兵衛督斉韶(稲垣吾郎)
「冷たい熱帯魚」の村田幸雄(でんでん)
が、僕の中のスターだったんですが、新たな悪役スターの誕生ですよ。それでいて、3人とは、またタイプの違う悪党ですね。個人的には、一見、気さくなおじさんなのに、正体はとんでもない男という点では、村田に少し近い気もします。言う通りにしないとヤバイだろうなと思わせる絶望的な怖さがありますからね。でも、村田は理詰めと行動で相手を説得させてると思うのですが、ミョンの場合、存在だけで伝わりますよ。そこが真に怖いんですよ。(言うとおりにしないとヤバイってのは、松平斉韶もそうですが、あれは殿様という地位があるんで、当然ではありますからね。)
ミョンに会えただけでも、観て良かったなぁと思いました。

それで、この映画の凄い所は、高いレベルで魅力のある悪党がもう1人いるという点です。それがテウォン(チョ・ソンハ)なんですが、こっちはミョンとは対照的に、非常に気の小さい悪党なんですよ。ただ非常にこの人男前で、色気があるんですよ。
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唐沢敏明さんに似てる感じですけど、僕は存じ上げなかったですが、この方は日本の役者さんなんですね。調べて知りました!
役回りとしては、ミョンにビビってるし、部下にばかり仕事させて自分は何もしないし、教授殺害の動機もしょうもないし・・・非常にダサく情けない損な役柄なんですけど、役者の持つ魅力なのか、不思議とかっこよく見えるんですよね。この人をかっこいいと思うかどうかは、ミョンと違って、賛否両論あるとは思いますけどね。でも存在感は絶対にあります!

でも、ちゃんと主人公のグナム(ハ・ジョンウ)もかっこいいんで、ご安心を。警察、ミョン、テウォン達に命を狙われ、何度も捕まりそうになり、いつ死んでもおかしくない絶望の状況で、それでも諦めないんです。嫁に会うため、この殺害計画の黒幕を見つけるため、彼は必死に、時には戦い、時には逃げるんです。しかも完全に巻き込まれただけの人物だと我々は知ってるし、嫁との事もあるんで、非常に感情移入してしまって・・・。彼とミョンが接近するとヤバイヤバイヤバイ・・・とこちらも手に汗握ってしまいます。やはりミョンはバキで言う所の範馬勇次郎、WORST!で言う花木九里虎みたいなモノですからね。対峙したら絶望的ですよ。

前回、同様にこの3人の話ばかりになってますが、やっぱりまずはキャラ立ちがすごいって事なんで。

後、この映画で印象的なのは、とにかく走るシーンが多いです。これは「チェイサー」も、そうみたいなんで、ナ・ホンジン監督の十八番って所でしょうか。しかし、グナムが警察から逃亡するシーンが、まずあるんですが、そこは本当に長いですよ。体感としては、「まだ逃げ切れない、まだ逃げ切れない、あ、逃げ切れた!いや、まだだった。ふぅ・・・まだだった!もういいだろ。まだだった!」って感じですよ。そんなに知りませんけど、映画史に残る長尺の逃亡シーンなんじゃないでしょうか。でも、実際に警察から逃げるって、そんな簡単に終わる訳無いですからね。リアリティあるなと僕は思いました。その後も、ここまでは長くないけど、何度も何度も逃げるシーンがありますよ。カーチェイスのシーンも見物なんで、劇場で確認して下さい。

かなり好きだったシーンは、グナムが教授を殺害する前に、現場でシュミレーションするシーン好きでした。非常に面白かったですね。階段の何段目にいれば、自動電気が消えるのかを計算したり、どういう風に刺し殺すか?ミョンに親指を持って行かないといけないんで、親指切る所まで練習してました。あのシーン好きでしたね。実際、どうなるのか、これから殺人を犯すんですが、ワクワクしてしまいましたよ。その前の帰りを待ってるけど、全然、帰って来ないからコンビニでカップラーメンを食べて、隣の人のホットドックを見て、自分も食べたくなるシーンも好きでしたね。そして戻ったらやっぱり教授帰って来てるっていう。

とにかくこの映画は、面白いんで、本当に劇場に行って欲しいです!

この先も、確信には触れずに書きますが、ここの部分はさすがに知らない方が面白いと思う展開なんで、観てない人は読まない方がいいと思います。
携帯電話で観覧の方は、隠す機能が反映されてるかわからないので、ここで終了して下さい。※僕のiphoneだと普通に読めてしまう為。
パソコンで、映画を観た人と関係ないから見ると言う人は、↓の鑑賞者用ボタンをどうぞ。



黒幕の正体とエンドロール途中のオチなんですけど、僕的には、ああやっぱりって思いましたけど、観た方は、どう思われましたか?まぁ謎解き映画ではなく、アクション中心なんで別にそういう裏切り展開でもいいのですが、もう少し展開が読めない方法があった気がしなくも無いです。

僕的には、黒幕部分は「ス」で始まる邦画のあれと同じで、「ミ」で始まるアメリカ映画のオチに似てるなぁと思ったんで、衝撃が少なかったのかも知れません。逆説的にネタバレさせたくないんで、あえてタイトル書きませんが・・・。

なんか、そういうのを臭わせる作りになってたと僕は思ったんですけど、わざとなんでしょうか・・・?グナンに依頼された男が写真と死体を見比べて「わかんねぇや」って言わせたり、グナンと教授の嫁が最初にすれ違う時、さも意味ありげに嫁を映してた当りを考えるとわざとなんでしょうねぇ。やっぱりわざとで、あれが正解なのかなぁ?僕的には、とにかく衝撃はそこまで無かったです。そこは、僕の考えすぎですかね。
うーん、誰かとこの件について、話したいですよ。

しかしエンドロールの最後の最後まで、皮肉な展開が待ってるとは、さすがだと思いました。

と最後の最後で、ちょっと批判的な事を書きましたが、そんなの全然関係なく、やっぱりスゲェ面白かったのは、間違いないです!

by eigasirouto | 2012-01-19 00:40 | 追記、修正など

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