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ヒミズ追記2   

今日は、東京は雪が積もりましたね。ついつい写メ撮ったんで、アップしておきます。
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いかにも、ブログっぽい事をやった所で、「ヒミズ」の続きを書こうと思います。

「ヒミズ」感想→こちら
「ヒミズ」追記→こちら

前回は、おそらくは世界一早く〝3.11〟以降の世界を描いた映画ではないか。それこそが、今作と原作の間にある違和感になってるのでは無いか?という事を書きました。
まず先に言っておきますが、僕は3.11以降をこんな感じで描くのは、不謹慎だとか言うつもりはさらさらありませんよ。そこをふざけて描いてる訳は無いと思うので。

という事で、まず漫画「ヒミズ」を掘り下げる事から始めたいと思います。
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ヤンマガ連載当時に読んでましたが、10年近く経ってる為、映画鑑賞前に新装版を読破しました。

何度も述べて来ましたが、古谷実先生の作品です。これまで「行け!稲中卓球部」「僕といっしょ」「グリーンヒル」と当時ハイレベルなギャグ漫画を描いてた古谷先生が、〝笑いの時間は終わりました....これより、不道徳の時間を始めます〟というゾッとするキャッチコピーで2001年から始めた傑作です。

重大な部分はネタバレにならないように簡単に内容を説明しますと
・ボート屋を営む母と主人公住田は二人でくらしている。
・時々、親父が母に金をせびりに来る。
・母も母で、別の男がいる。
・父に憎悪を抱く住田は、自分は普通でありたいと強く願う。
・住田には、夜野という同級生の友達がいる。
・クラスメイトの茶沢さんという女子に好意を持たれている。
・ある日、母親が男と出て行く。
・生きていけないので、学校に行かなくなり、バイトを始める。
・親父の借金取りが家にやってくる。
・夜野は、ある行動で住田の借金を返そうとする。
・住田は、とある事情で、どうせだったら悪い奴を殺そうと考え始めて、街の徘徊を始める。

という様なお話ですよ。

それで、徘徊しててヤバイ人物を見つけるんですが、下巻の解説の樋口毅宏さんの言葉を拝借しますが、ついに古谷マンガに〝笑えないバカ〟が登場するんですよ。そして上巻の巻末には、園子温監督のインタビューが掲載されてるんですが、こんな事をおっしゃってます。
宮台真司さんが当時言ってた「終わりなき日常」というものにものすごくシンクロしていて、だからこそ、みんな「ヒミズ」にリアルさを感じていたと思います。ただ、そこに「普通、最高」というくさびを打ち込んでくれたのがこの作品です。
と。それで僕的に、この二つの言葉から浮かび上がってくる事は、「ヒミズ」とは、やはり00年代当初だからこそ成立しえた作品という事だと思うんです。いや、正確に言えば、2011/3/10までは、成立したかも知れません。ただ、3.11以降、空気は一変してると僕は思ってるんです。だから映画を観て、3.11以降になってるからこそ、原作の持ってる空気感が、成立してない世界だと思ってしまいました。

この園監督の姿勢自体、僕は素晴らしいと思うんですが、それを入れた事で、話がおかしくなってる気がどうしてもしてしまって・・・。で、色んなインタビューとか読んだりしてますが、園監督自身も震災の事を入れるかどうか、すごく悩んだみたいなんです。でも、表現者として、どうしても無視する事が出来ず、2001年のリアルより2011年のリアルを描く事にしたみたいで、脚本を書き直して、出演者も大幅に変更したとどこかのインタビューで読みました。これを読んで、やはり時間が足りなかったんじゃないか?と思いました。

まずですね、物語の場所が被災地と思われる場所になってるんです。それで、ボート屋近くに震災で家が無くなった人達が、ホームレスとして住んでると。ここにちょっとまず違和感を感じたんですけど、こういう人達って、結構いるんでしょうか?でも、この人達以外は、普通に生活してるから、もっと市役所とか行って、なんとかしてもらえないのか?とか思ってしまって。しかも何か呑気なんですよね・・・。楽しそうに過ごしてて。で、衝撃の原作からの改変ポイントなんですが、さっきも夜野という同級生がいると紹介しましたが、同級生からホームレスの1人のおじさんに変更されてて渡辺哲さんが演じてるんです。
いいですか、みなさん、この人が渡辺哲さんですよ。
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僕は、夜野が一番、思い入れのある好きなキャラだっただけに、いきなり面食らいましたよ。
「冷たい熱帯魚」でも、素晴らしい演技を見せてくれますし、今回も存在感あるし、素晴らしいですよ。でも、僕が、原作の夜野に思い入れが強過ぎて「ええええええ・・・」って、なってしまいましたよ。中学生でバカ丸出しなんだけど、ただのバカじゃない味わい深いキャラであった夜野はいずこへ・・・。ここで、僕としてはまず不満を覚えたんです。物語に入って行きづれぇ・・・と。これ、もし震災を挟まなかったら、普通に中学生にやらせてたのかなぁと思いましてね。ホームレス設定も無いでしょうし・・・。

ホームレス関連で、言うと「冷たい熱帯魚」で夫婦を演じてた、吹越満さんと神楽坂恵さんが夫婦としているんですよ。僕は「冷たい熱帯魚」で、神楽坂恵さん(今年、園監督と結婚)の大ファンになって(園監督作品で主演してる「恋の罪」は、金銭的理由で鑑賞出来てなく、DVDが出たら即効で借ります。)色々、いやらしい目線で、妄想してたので、出てくるとそりゃ嬉しいですよ。ただ、全然、乳出さなくてショックでしたよ。結婚で他の男に見せたくなくる様な男じゃないでしょうが、期待して損しましたよ。

話を戻しますが、とにかく震災でホームレスが近所に住んでるという点が、個人的にまず飲み込み辛いという事です。

それで、いいなと思った改変ポイントなんですが、父親と母親が、原作よりクソ野郎になってるんですよ。ここは、本当にいいなと思いました。ただ・・・ですよ。ただ、あんな震災があっても、未だ息子に対して、あんな扱いするのかなぁ?って思ってしまったんですよ。

そして、ヴェネチア映画祭で最優秀新人俳優賞を受賞した、主人公である住田(染谷将太)と茶沢さん(二階堂ふみ)も、かなり性格が改変されてるんですよね。原作の住田は、かなり淡々としてて、冷静なんですけど、頭の中で、ずーっと「普通になりたい」「出来るだけ目立ちたくない」とか考えてる奴なんですよ。考え方は独特ですが、普通の中学生なんです。なのに、現実に振り回されて〝普通〟から外れていく・・・。という部分が絶妙だったと思うんです。だけど、映画版は、学校に遅刻して来て、大声で教師に「普通、最高!」って、言ったりするんです。こいつ〝普通〟目指してないだろって思ってしまいましたね。で、茶沢さんもかなりエキセントリックな人物になってまして。確かに原作の茶沢さんもちょっとおかしいんですよ。でも陰なエキセントリックだったけど、陽なぶっ飛んだ女になってて。教室でクラスで住田がさっきの台詞を叫んだ後、茶沢さんが手を挙げて「異議なし!」とか叫ぶんですけど、原作の茶沢さんは絶対やらないですよ。一番、この物語で怖い人物だと僕は思いましたよ。

まぁでも、そもそも園監督の演出は、こういう感じだったりするんですよ。それが「愛のむきだし」とかでは、すごく面白く感じたんです。ただ、こと「ヒミズ」に関しては、どうなんだろうなぁ。


「ヒミズ」に関して、なんかすごい中途半端ですが、まだまだ言いたい事あるけど上手くまとめれないし、疲れて来ました。もう少し追記をする予定ですが、これ以上、疲れるので更新しないかも知れません。とも言っておきます。

2012/1/28(3時47分)に、追記3を書きました→こちら
2012/1/29に、追記4を書きました→こちら

by eigasirouto | 2012-01-24 02:54 | 追記、修正など

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