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J・エドガー追記   

「J・エドガー」の簡単な感想は→こちら
クリント・イーストウッド監督→こちら

イーストウッド監督のページを見ていただけるとわかると思いますが、ここ最近ファンになった超にわか野郎なんですよ。僕は。
80歳越えてなお監督としては現役バリバリでやってまして。それだけでもう感動するなと思いますし、御自身で今がピークだとかおっしゃってるんですよ。僕としては、このお方の存在だけで歳を取る事に勇気を与えてくれるんですよ。30越えて、終わった感が自分の中であった時期もありましたが、まだまだこれからだなって、思わせてくれたのは、このお方なんですよ。イーストウッドファンを公言出来る様に、全部の作品を観ようと2年前に意気込んだものの、他の作品にもうつつをぬかしてしまい、なかなか制覇出来てないのが現状でして・・・。というかキャリア長すぎて制覇するのは、しんどいですよ。まぁでも超にわかファンと今は言わせておいて下さい。※ちなみにイーストウッドに関しては「ローラーガールズ・ダイアリー」追記→(こちら)でもチラッと触れてます。

そういう状況なので、当然、新作は観に行きますよ。イーストウッドの今を体験しておきたいですからね。

それで、僕なりに、にわかクソ野郎の僕なりにイーストウッド監督の3つの特徴を考えてみましたよ。
1、淡々としていてサクサク進行する
2、陰影の使い方が象徴的で、全体的に暗い雰囲気
3、音楽も自分でやったりで特長的
真のファンの方に怒られそうですが、一応、今の僕のアホなりの見立てです。で、今回もやっぱり、以上の点は抑えられてたので、「イーストウッドの映画を観てるなぁ」と思いましたよ。

しかも今回は、レオナルド・ディカプリオ主演という事で注目度もあるんじゃないですかね。アカデミー主演男優賞にノミネートされてるみたいで、今回、評価も高いです。J・エドガーの役はディカプリオ本人が、かなりやりたがってた役らしいですよ!

この映画に関しては、映画評論家の町山智浩さんの解説をまず聞いてから観た方がいいと僕は思うんですよ。というのもある程度どういう映画か知らないと面食らう可能性大だと僕は思いました。なので町山さんのポッドキャストです。→こちら※聞き役は、小島慶子さんと水道橋博士さんです。

色々と語ってくれてますが、大きくまとめると
・J・エドガー・フーバーはFBIの初代長官である
・J・エドガー・フーバーは、自分の実績をでっちあげをしていた
・リンドバーグの息子の犯人を誤認逮捕をしている可能性が高い
・大統領や権力者のSEXを盗聴して脅し、アメリカを影で操っていた
・キング牧師に脅迫状を書いている
・故にアメリカでは嫌われている
・ゲイという説があった
・この映画は、残ってる記事や証言だけで作っている
・故に、真相をハッキリしない為、今作に対して政治的な部分で文句言ってる人もいる
・だが、この映画は伝記が重要ではない
・脚本家は「ミルク」でアカデミー賞を獲ったダスティン・ランス・ブラック
・ダスティン・ランス・ブラックは、自身がゲイ
・「ミルク」はアメリカ史上初めてカミングアウトした政治家ハーヴェイ・ミルクが他の人々も自由に解放してゆく戦いを描いた
・この映画は、その逆で自分の〝ゲイ〟という事を隠した男の話
・故に、他人をも抑圧する男になってしまった
・この映画の語り手は、70代になってしまったフーバー自身なので、信用出来ない語り手
・政治的な部分では微妙だけど、人間としての映画としては非常によく描けている。さすがイーストウッドと思いました
という流れだと思うんですが、まぁPodcastを聞いて下さい。とりあえず。単純に面白いですよ。
リンドバーグやキング牧師の事は、一般常識でしょうが、知らないと言う人は軽くWikiを読んでからの方がイイかと思います。要するにあの事件の裏側を描いてるのに、事件そのものを知らなかったらなんにもワクワクしないでしょうからね。フーバーが生きてる間の歴代大統領も頭に入ってるとより面白いんじゃないでしょうか。

この作品は、裏でアメリカをどんな風に操ったのかを楽しむ映画ではなく、ワイドショーを観る時の実際どうなのよ?的な下世話感を持って観ると面白いと思うんですよ。だから前者を期待して観ると肩透かしを食らうのは、当然ですよね。脚本のダスティン・ランス・ブラックが伝えたかったのは、そこじゃないですからね。

とりあえず、もう内容や見所は町山さんの解説が全部伝えてるんで、その辺の感想は置いといて、スタイルの話を少し書きたいと思います。映画秘宝3月号でイーストウッド監督は今作に関してこんな事を言ってます。
インタビュアー「時間軸(時代)が何度も前後する本作のスタイルについてお聞かせ下さい」
イーストウッド「面白いと思ったからだよ。これがランすの脚本に対する第一印象だったんだ。(中略)時代を前後させながら、フーバーのなるべくしてああなった老年の姿とそうなっていくまでの若い頃の姿を見せるのは、手法として興味深いと感じたからだ。」
ここの部分です。何度も何度も時代が行ったり来たりする。前回たまたま観た「瞳の奥の秘密」もそうでした。で、「黒く濁る村」もそうでした。ただ、二作とはこの手法の持つ効果が全然違うと思いました。

「瞳の~」「黒く~」は、現在から過去を明かしていく事で、ミステリーの謎を解明して行く為の手法なのに対して、監督もインタビューで答えてますが、「J・エドガー」は、醜くなったエドガーが、なぜそうなったのか?を我々に理解させる為の効果としての手法だと思います。(どちらもなぜこうなったのか?というのは含みますが、今作にはミステリー的要素はないので。)説明的でなくジョン・エドガー・フーバーという人物像が、上手く浮かび上がってくる仕組みになってるなと思いました。
さらに今回の語り手は、町山さんがおっしゃった通り、かなりの曲者です。我々が見せられてる事は本当なのか?という仕掛けにもなっています。

ただ、ちゃんと彼なりの正義感もちゃんと描いてくれてると思いますね。
残ってる文献、証言しか採用しない辺りも、監督や脚本家の姿勢に誠実さを感じます。
裏を返せば、でっちあげまくってたエドガーを反面教師としてるんじゃないでしょうか。だからクリント・イーストウッドはかっこいいじいさんなんだなとダラダラ書いてて行き着いた結論です。

という事で色々と批判は多いし、僕も「ヒミズ」の時同様に、期待値がえらい事になってたんで、若干の肩透かし感はありましたが、「不誠実で信頼出来きない男を信頼出来る男が誠実に描いた映画」という事で、やはり評価に値するんじゃないでしょうか。

この感想の関連映画
「瞳の奥の秘密」→こちら
「黒く濁る村」→こちら

追記2を書きました→こちら
2012/2/5追記3を書きました→こちら

by eigasirouto | 2012-02-02 03:17 | 追記、修正など

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