隣る人
2012年 05月 26日
隣る人
ホームページ
解説:2011年10月時点で、全国でおよそ3万人の子どもたちが預けられている児童養護施設の一つ「光の子どもの家」の日々の生活を、8年にわたり追い続けたドキュメンタリー。何らかの理由で親と生活を送れず、施設で過ごす子どもたちをめぐる何げない日常を丁寧に描き出す。今回初メガホンを取るのは、フリージャーナリスト集団「アジアプレス・インターナショナル」所属の刀川和也。必死に自分の存在を訴えかける子どもたちや親の苦悩などを見つめる過程に心打たれる。
あらすじ:保育士のマリコさんは、地方にある児童養護施設でムツミとマリナの親代わりとなって寝食を共にしている。そこではやむを得ない事情から親と同居できない子どもたちが住んでおり、ときどき二人はマリコさんをめぐってケンカをすることもある。そんな折、ずっと離れて暮らしていたムツミの母親が、もう一度子どもと暮らしたいと願って施設を訪れる。
と言う訳で、我が街東中野に唯一ある映画館「ポレポレ東中野」にて、鑑賞して来ました。平日の昼間と言うのもあるでしょうが、年配の方が多かった印象です。
生活保護の問題がマスコミに取りだたされてる今日この頃ですが、その問題と根っこの部分(貧困、親と子供、福祉など)で関係ありそうな映画でした。
しかし、映画はナレーションや音楽は一切使わずに、こうあるべきだ!とか、説教的な事は無く、ただその施設で起こっている事を淡々と映し出して行きます。だからこういう世界があるよと提示だけされて、それをどう考えるか?どう行動するのか?それは、我々観客に委ねられる作りになってました。
このブログではドキュメンタリーは、「ピープルVSジョージ・ルーカス」と「コーマン帝国」だけですけど、邦画は初めてだし、その2つは映画監督についての話でしたけど、この映画は児童養護施設の話なので、色々と正解の無い解決困難な問題で重そうな感じはしますし、実際にそういう問題を浮き上がらせて行きますが、しかしそういう問題は置いといて、何よりも子供達がかわいくてしょうがなかったです。
誰しもが、子供時代がありますから、これを観た大人は自分の幼少期を思い出して共感出来る部分もあるはずです。とにかく皆かわいくて、生意気な発言で笑わせてくれるし、甘えてる姿、不貞腐れてる姿、怒ってる姿も、たまらないものがありました。
そんな我々を無自覚に楽しませてくれる子供達に、辛い現実が訪れた時、僕も心を揺さぶられました。
まずは、健気で飾り気の無い子供達の真実を描けてる作品だから、僕はそこがいいなと思いました。
気軽に子供達を観に行こうというノリで映画館に行って、全然いいんじゃないでしょうか。
次に、保育士さん達の優しさに胸を打たれました。
保育士さん達は、子供の為に一生懸命働いてるのですが、もはや仕事というより、生活であり、人生を子供達に捧げている姿、心からの優しさや涙を流す姿が、画面を通して映し出されていました。
この方達を観てると、なんだか自分はなんて身勝手な人間なんだ!?とか思い知らされて、親の事を思い出したりして居心地の悪さを感じたりもしますけど、深く反省しました。
月並みですけど、親や他人に対して、もっと優しく接するべきだなーと思ったんですけど、九州にいる親に電話したらしたで、ケンカになるんですよね。毎回。ただ、良いにしろ悪いにしろ、あの人達がいたから自分が存在してるのは、変わりようのない事実ですからね。
全然、どうでもいいエピソードですけど、そうやって親の事を考えてると子供の頃に僕が言う事を聞かない時の殺し文句に、「閻魔様に電話するよ!」と並んで、「施設に入れるよ!」と言うパターンがあったのを思い出しましたよ。
それとムッちゃんのお母さんが出て来ますけど、明言は避けてるけど、もしかして虐待があったのかな~と連想させられて、ヘビーな気持ちになったり、ムッちゃんが母親から電話が来たりする事で、父親から何の連絡もないマリナちゃんが、誰でもいいから電話が欲しいと言ってるという保育士さんのエピソードに胸を締め付けられる思いでした。そこで、パパとは言わないんですけど…と言ってたので、もしかしらマリナちゃんも父親との関係にトラウマがあるのかも知れなくて、非常にやりきれない気持ちになりました。
ただ、そうなんですけど、先程も書きましたが、保育士さん達が、本当の母親、もしくはそれ以上に、愛情を注いでるので、子供達も保育士さん達が大好きで、見てて微笑ましく、また愛おしい気持ちになりました。
ムッちゃんが、マリコ先生がお休みの日に、手紙に大好き、大好き、大好き…と何度も書いてる姿が非常に印象的でした。
毎日、時間帯によっては、監督と著名人のトークショーもあるみたいなので、是非、ポレポレ東中野に足を運んで下さい!特に、これから子供を産むであろう20代、30代の人は、見ると色々考えさせられると思います。何度も言ってますが、全然、押しつけがましいメッセージなんかはありませんので、どう思うかは個人の自由な作りになってますよ。
2012/5/27「タロットカード殺人事件」の記事で、読んでいただけると僕が嬉しい追記があります。
by eigasirouto | 2012-05-26 01:22 | 新作映画(2012)